米国で北朝鮮政府を相手取る民事訴訟が相次いでいる。米政府系放送VOA(韓国語版)によると、米連邦裁判所では過去2年余りの間に北朝鮮を被告とする民事訴訟が少なくとも6件提起されており、近年はロシアへの軍事支援や中東武装勢力との関係を理由に責任を追及する動きが目立っている。
VOAによると、提訴した原告には、2023年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエル襲撃の被害者や遺族のほか、ウクライナ戦争で死亡した兵士の米国籍親族などが含まれる。原告側は、北朝鮮がロシアに砲弾やミサイルを供給したことや、ハマス、ヒズボラ、イラン、シリアなどへの軍事支援が被害につながったとして損害賠償を求めている。
こうした訴訟は、米国の外国主権免除法(FSIA)の「テロ支援国家例外」を根拠としている。北朝鮮は2017年にテロ支援国家へ再指定されており、一定の条件を満たせば外国政府であっても米国の裁判所で損害賠償責任を問うことができる。
北朝鮮側はこれまで、米国で提起された同種訴訟にほとんど出廷していない。代表例が、2017年に死亡した米国人大学生オットー・ワームビア氏の事件だ。同氏の両親は2018年に北朝鮮を提訴したが、北朝鮮は代理人を選任せず、答弁書も提出しなかった。裁判所は原告側が提出した医師や専門家らの証拠を精査したうえで、約5億100万ドルの損害賠償を命じる欠席判決を言い渡した。
さらに今年6月には、この判決に基づき、米国内で凍結されていた北朝鮮関連資産約1713万ドル(約27億円)をワームビア氏の遺族に支払うよう命じる決定が米連邦地裁で下された。従来は「勝訴しても回収できない」とみられていた対北訴訟で、実際に凍結資産から賠償を受けられる前例となった。
専門家の間では、北朝鮮が法廷で実質的な反論を行わないことから原告側が勝訴しやすい構図が定着しているとの見方がある。
それでも、ワームビア事件で凍結資産からの支払いが裁判所により命じられたことは、北朝鮮を相手取る民事訴訟の実効性を印象づけた。近年相次ぐ提訴は、北朝鮮のロシアや中東武装勢力との軍事協力拡大に加え、「勝訴すれば実際に賠償を受けられる可能性がある」との期待が原告側や代理人の間で高まりつつあることを映し出している可能性もある。








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