世界第3位の原油生産量を誇り、エネルギー大国として君臨してきたロシアが、自国内で深刻な燃料危機に直面している。ウクライナ軍によるドローン攻撃が引き金となり、ガソリンやジェット燃料の供給が麻痺、近隣国からの緊急輸入や国内での給油制限に追い込まれる異例の事態となった。
しかし、国際的なエネルギー専門家や欧米メディアの分析によれば、今回の危機は単なる戦時下の突発的被害ではなく、ロシアの石油精製部門が長年抱えてきた「余力のなさ」と「構造的脆弱性」が有事によって一気に露呈したものである。

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 石油天然ガス統計によると、ロシアは日量約900万~1000万バレルの原油を汲み上げる一方、国内の製油施設で製品化できる精製能力は日量約550万バレル前後にとどまる。生産される原油の約半分は未精製のまま中国やインドへ輸出される構造で、平時には外貨を生む源泉だったが、国内供給の「のりしろ」が極めて薄いという致命的な弱点を抱えていた。

 特に自動車用ガソリンや航空機用ジェット燃料の需給は開戦前から限界にあり、国内生産量は年間消費量をわずか5~10%上回る程度。定期メンテナンスによる短期停止でも価格高騰や品不足を招くほど、製油設備は常にフル稼働を強いられ、予備能力=「バッファー」は皆無に等しかった。

 この限界をさらに悪化させたのが、西側技術への依存と近代化の遅れである。主要33製油所の多くは冷戦期に建設され、2000年代以降に導入されたFCCやハイドロクラッキング装置は米欧企業の特許技術に依存していた。2022年の侵略開始後、制裁により部品・触媒の輸入が禁止され、代替品による補修で精製効率が急低下。専門家は「ロシアの製油所は慢性的に体力を削られた状態で稼働していた」と指摘する。

 こうした脆弱な供給網をウクライナ軍の精密ドローン攻撃が直撃した。2026年に入り、ウクライナは輸出拠点ではなく内陸部の製油所を重点的に攻撃。キリシ製油所やモスクワ製油所が停止し、全国で精製能力の20~28%が喪失した。
原油は余っても精製できず、ロシア政府は未精製原油輸出で外貨を維持しようとするが、国内では「走るためのガソリン」「飛ぶための燃料」が不足するという異常なねじれが生じている。

 現在、国内の高級ガソリン不足率は10~15%に達し、地方では配給制が導入。ベラルーシ、カザフスタン、さらには日本・千葉経由の迂回輸入まで行う緊急措置は、「産油国ロシアの精製能力の限界」を世界にさらす結果となった。平時からの投資怠慢と西側技術依存のツケが、ウクライナのドローン戦術によって最悪の形で爆発したと言える。
【編集:af】
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