ウクライナをめぐる航空戦の様相が、劇的な転換期を迎えようとしている。スウェーデンのポール・ヨンソン国防相はこのほど、ウクライナへ供与する国産戦闘機「グリペン」について、国際法上の自衛権に基づきロシア領空の軍事目標への攻撃を公式に容認する方針を明言した。

これに伴い、近く戦線に投入される西側製の航空兵器パッケージが、ロシア軍の優位を切り崩す「三種の神器」としてにわかに注目を集めている。

死角からの奇襲、消え去る安全圏

これまで欧米諸国は、供与兵器によるロシア本土への攻撃を厳しく制限してきた。しかし、スウェーデン政府による今回の決断は、その「地理的な足枷」を事実上撤廃するものだ。ロシア領空内で安全圏からウクライナの都市や前線に「誘導滑空爆弾(KAB)」を大量投下してきたロシア空軍の爆撃機(Su-34など)に対し、直接的な迎撃行動が可能となる。

この空中包囲網の核となるのが、スウェーデンが供与する「ASC890早期警戒機」、「JAS39グリペン戦闘機」、そして欧州製の長距離空対空ミサイル「ミーティア」の3つの最新鋭システムだ。

このシステムの最大の強みは、グリペン戦闘機が「自身のレーダーを切ったまま(電波を発信しない隠密状態)」で攻撃を行える点にある。

はるか後方の安全な上空を飛行するASC890早期警戒機が、強力な「エリアイ」レーダーでロシア軍機を捕捉。その正確な位置データを、デジタルデータリンクを通じてグリペンへリアルタイムに転送する。これにより、グリペンはロシア軍のレーダー警戒装置に探知されることなく接近し、ミサイルを「ステルス発射」することが可能となる。ロシア軍機にとっては、ロックオンされたことに気づかないまま、突如として高性能ミサイルが眼前に迫る「見えない恐怖」となる。

国境から150キロ、後退迫る

さらに、搭載されるミサイル「ミーティア」は、従来のロケットモーターとは異なり、着弾の直前まで音速の数倍で加速し続ける「ラムジェットエンジン」を採用している。射程は150~200キロメートルに及び、標的となった航空機が急旋回などの回避行動をとっても逃げ切ることは極めて困難(ノーエスケープゾーン=回避不能領域が広い)とされる。

この「三種の神器」の導入により、ウクライナ軍は自国国境から150キロメートル圏内のロシア領空を「絶対的な迎撃エリア」へと変貌させることになる。

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