北朝鮮で炭鉱労働者向けの住宅整備を掲げた政策が、かえって現場への過酷な増産圧力につながっていると伝えられた。猛暑の中でも昼夜を問わない作業が続き、坑内で連日、脱水症状などを訴えて倒れる労働者が出ているという。

デイリーNKの平安南道の消息筋が11日までに伝えた。

消息筋によると、价川地区炭鉱連合企業所傘下の炭鉱では7月に続き、8月にも追加の生産計画が下達された。炭鉱労働者は暑さの厳しい時期にもかかわらず、坑内で夜間作業を続けながら石炭の増産を迫られているという。

背景にあるのが、6月に開かれた朝鮮労働党中央委員会第9期第2回総会で打ち出された「炭鉱村の近代化」だ。企業所の幹部らは「国が炭鉱労働者に新しい家を建てる大きな計画を立てた」と強調。「石炭の増産によって党の恩恵に3倍、4倍で報いよう」と労働者を鼓舞しているとされる。

北朝鮮の炭鉱村は、実質的な「流刑地」となるほど環境が劣悪で、住民たちは近代化を渇望している。しかし、住宅建設にはセメントや鉄鋼が必要となり、その生産を支えるためには石炭の供給を増やさなければならない――というのが当局側の論理だ。

このため傘下の炭鉱では生産目標が引き上げられ、作業班ごとの実績を毎日点検。目標に達しない班には夜間作業を課すなど、増産圧力が強まっているという。

消息筋は「換気が悪く湿度の高い坑内は夏になると作業環境がさらに悪化する」と説明。15日以上にわたり猛暑が続く中でも作業は一度も中断されず、人手不足も重なり、昼間勤務を終えた労働者がそのまま夜間勤務に投入されるケースも繰り返されている。

長時間労働と睡眠不足などにより、倒れる労働者が続出しているという。

こうした状況に労働者の不満も高まっている。「このまま追い立てられたら、家をもらう前に死んでしまう」「計画の超過達成ばかり叫び、人間を鋼鉄のように扱っている」「人が住む家を建てると言いながら、その人間を大切にしていない」といった声が上がっているという。

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