【写真】内田理央主演ドラマ『夫を殺したはずなのに』場面カット【7点】
◆深夜のホラー作(?)が始まった!
本作はいわゆる深夜の人間関係ドロ沼サスペンスだ。
親に捨てられた経験から、自分が子どもを持つことに抵抗があった莉乃。慶太との愛し愛される生活があればいいと思っていたのに、理想は簡単に崩されてしまった。そして慶太を自らの手で殺めることを決意して、配信中のラブホテルに包丁を持って乗り込む。この世の者とは思えない形相で、妻は夫を滅多刺しにしてしまう。が、本作がふつうの深夜ドラマではないのが終盤。
「私、何度夫を殺していいんでしょうか」
思考回路がゆがんでいく莉乃。内田のサイコパス演技が、光り輝いていた。最高だった。今まで経験はないけれど、もし誰かを殺すとしたらこんな狂気に満ちた表情なのかもしれない。ああ、恐ろしい。
◆内田理央とテレ東の好相性
内田はここ数年、(敬愛を込めて)自由な発想の泉のテレビ局・テレビ東京と相性が良さそうだ。気がついたのは2020年のコロナ禍に放送が始まった『来世ではちゃんとします』の大森桃江役。複数人のセフレを持つ、承認欲求にまみれただらしない女性を演じるとは、俳優としてかなりの勝負に出たはずだ。作品は高評価を得て、スペシャルドラマ化と2023年の第3シリーズまで続いている。
そして今年の冬ドラマで放送された『略奪奪婚』の佐久間千春役。『夫を殺したはずなのに』の莉乃役とオーバーラップする箇所ある役で、母親の愛に恵まれず育った千春が、幼なじみで医師の司(伊藤健太郎)と結婚したものの、子どもを授かれず、ついには司が浮気して不倫相手の桐嶋えみる(中村ゆりか)が妊娠してしまう。裕福な家庭に生まれたえみるのおかげもあって、慰謝料や財産分与で大金を受け取るが、すべてホストに貢いでしまい、人生の階段を転がり落ちていく千春は元夫とその妻への復讐を実行していく、人間関係がドロ沼化した、ラブシーンの多い深夜ドラマだった。
冬ドラマで『略奪奪婚』で落ちぶれた人生を送る女性に続けて、春ドラマで殺人鬼。先述したように自由なテレ東と、内田とのタッグには気勢を感じる。加えて慶太役の渡邊とエレナ役の箭内も、今まで地上波で見ていたイメージを覆すような、セクシャルなシーンを振る舞っているので、これも大きなトライアル。多岐にわたる要素が詰まった『夫を殺したはずなのに』は、今年の夏を冷やしてくれるホラー作(?)になるのかもしれない。
(文/コラムニスト・小林久乃)
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