NHK連続テレビ小説『風、薫る』で、生後まもなく母に捨てられ牧師に育てられた主人公の直美を演じる上坂樹里。第5週から第12週にかけて描かれた梅岡看護婦養成所パートでは、看護の所作からナイチンゲールの講義まで本格的な指導を受けながら撮影に臨んだという。
生徒役の仲間たちとの絆、ダブル主演のりんを演じる見上愛との交流、そして初めての一人暮らしなど、撮影を通じて訪れた変化について振り返ってもらった。(前後編の前編)

【写真】朝ドラ『風、薫る』主演・上坂樹里の撮り下ろしカット【7点】

――『風、薫る』のクランクイン前から、生後間もなく母親に捨てられ、牧師に育てられたという出自を持つ直美を演じる上で、英語や所作などの指導があったとお聞きしました。第5週から第12週にかけて放送された梅岡看護婦養成所での日々を撮影するにあたっては、どんな準備があったのでしょうか。

上坂 梅岡看護婦養成所パートの撮影に入る前に、生徒を演じるキャスト7人で、看護の先生からシーツの敷き方や包帯の巻き方、着替えの介助の仕方を教えていただいたり、ナイチンゲールの講義を受けたりしました。撮影に入ってからも、看護のシーンがあるときは、先生がいらっしゃって付き添ってくださっているので、「次はどうしたらいいか」「さらに、この患者さんを介助するとしたらどういう動き方があるか」というところまで丁寧に教えていただきながら撮影しました。

――患者さんに応じて、看護の方法も変わるでしょうし、覚えることも膨大ですね。

上坂 そうですね。撮影に入ってからのほうが、勉強することが多くて。1つのシーンを作るのに、段取り、テスト、本番という流れなんですが、テストが終わって本番の前にお芝居の確認があって、そこに所作が入って、最後に看護の動きが入ってと、いろいろ一気にやらないといけないことがあるので集中して臨んでいます。

――梅岡看護婦養成所パートの撮影期間は、学校のような雰囲気もあったのではないですか。

上坂 ご飯のシーンは実際にみんなで食事をしましたし、夜遅くなって眠ってしまうシーンでは、本当にみんな寝てしまったこともあって、まさに学校のような空気感でした。生徒役7人で朝から夜まで、3カ月くらい毎日一緒にいたので、長い時間を共有しましたし、みんなで同じ方向に向かって作品作りをできたのは充実した時間でした。


――役柄もそうですが、年齢やキャリアが異なる幅広いキャストがユニークでした。

上坂 面白いですよね。ただ、そういうことを全て気にせず、撮影の合間も和気あいあいとお話をしていました。みんながいてくれたからこそ乗り越えられたところもありますし、梅岡看護婦養成所パートの撮影が終わって人数が少なくなったときは、7人で過ごした時間が恋しくなりました。

――りんを演じる見上愛さんの印象を教えてください。

上坂 初めてお会いしたときから太陽みたいな方で、その場にいるだけで周りを引き込む明るさを持っています。常にフラットに現場にいてくださるので心強いですね。見上さんは実年齢でもお姉さんなので、引っ張っていただきながら、とてもいい距離感で接していただいています。お芝居については、監督を交えて3人で話し合うことが多いのですが、2人きりのときはドラマと関係のない、他愛のない話で盛り上がっています。

――共通の趣味はあるんですか。

上坂 2人とも食べることが好きなので、お菓子をお裾分けし合っています。あと私が、朝ドラの撮影が始まるタイミングで一人暮らしを始めたので、おすすめの家電などを教えてもらいました。


――見上さんの意見を参考にして買ったものもあるんですか。

上坂 炊飯器、加湿器といった日常に必要なものから、家庭用プラネタリウムプロジェクターなど、幾つか同じものを買っています。だから、見上さんの部屋に近い雰囲気になっているかもしれません(笑)。

――どうしてこのタイミングで一人暮らしを始めたんですか。

上坂 ずっと実家にいたのですが、現場に通いやすいようにというのもありますし、前から一人暮らしをしたいと考えていたんですよね。初めての朝ドラというお仕事面の変化に加えて、一人暮らしを始めたことで「ここからがスタート!」という感覚も芽生えたので、いいタイミングだったと思いますし、伸び伸びと楽しく過ごせています。

――直美を引き取った牧師の吉江善作を演じる原田泰造さんは、上坂さんが主人公の娘を演じた2023年のドラマ『生理のおじさんとその娘』(NHK総合)以来の共演となります。

上坂 前回は親子役で、顔合わせのときに「今回は血がつながっていないね」と声をかけてくださったのですが、吉江先生は直美にとってお父さんのような存在で、ご縁を感じましたし、いつも原田さんは温かくて、安心感があります。吉江先生は、直美が感じた怒りや悲しさを、直美以上に感じてくれる人です。序盤は思いの丈をぶつけられるのが吉江先生しかいなかったので、それを演じるのが原田さんということで、セリフを言うときも助けられました。

――本番以外で原田さんと、どんな会話をしているんですか。

上坂 お会いするたびに「ちゃんとご飯は食べてる?」と体調を気にかけてくださって、本当のお父さんのように見守ってくださるんです。
一人暮らしを始めましたと報告したときも、食事の心配をしてくれました(笑)。

連続テレビ小説「風、薫る」
NHK総合/毎週月曜~土曜8時ほか

脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる「明治のナイチンゲール 大関和物語」
音楽:野見祐ニ
主題歌:「風と町」Mrs. GREEN APPLE
語り:研ナオコ
出演:見上愛 上坂樹里 佐野晶哉 生田絵梨花 古川雄大 井上祐貴 内田慈 平埜生成 多部未華子 原田泰造 水野美紀 坂東彌十郎 ほか

公式サイト:https://www.nhk.jp/g/ts/XWRG4KR6Z2/
Instagram:https://www.instagram.com/asadora_ak_nhk/
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【後編】『風、薫る』上坂樹里、母との別れで向き合った“これまでにない感情”「直美の弱い部分と向き合う時間だった」
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