夏のせいだろうか。最近、深夜帯を中心に刺激的なドラマの放送をよく見かける。
今、始まったことではないけれど、さらに気を引くのは放送序盤にインパクトのあるシーンが多い傾向だ。

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◆ドラマ第一話の滑り出しで印象深くさせる

例えば『夫に不倫をお願いされました』(テレビ東京系)は、主人公・永乃花恵(中村ゆりか)による、真昼間の自慰行為のシーンから第一話が始まった。仕事に疲れた夫から性行為を拒否されたうえに、タイトル通り「外で遊んできてくれ」と浮気を公認される主婦の物語。これまで『ディアマイベイビー~私があなたを支配するまで~』(2025年)では年下男子を仕留めて、『略奪奪婚』(2025年)では不貞行為の連打の果てに他人の夫を略奪……と数々の、すごい女を大胆かつしなやかに演じてきた中村。さて次はどの境地へ進むのかと思いきや、欲求不満の主婦を手中にしていた。ファーストシーンは視聴者の印象に残ったはずだ。

放送中の『夫を殺したはずなのに』(テレビ東京系)の第一話はベッドシーンから始まり、内田理央演じる本庄莉乃が人の想像の範疇を超えた形相で、夫を殺していた。内田は冬クールの主演作『略奪奪婚』の第一話でも、ホストクラブで騒いでそのまま痴情にもつれこむシーンを見せていた。

インパクトシーンはまだ続く。『しもべの王子様』(TOKYO MX)では序盤から、語藤直也(小川史記/BUDDiiS)の足を佐藤高明(瀬戸利樹)が舐めるシーンがあった。こうなると『夫婦と16歳~狂気の隣人~』(テレビ東京系)が、野村紘(豆原一成)と冴(岡田結実)のキスシーンが冒頭に飛び出したことなんぞ、ふつうに感じてしまうほど。

ドラマの冒頭に衝撃を持たせる演出の意図は何なのかといえば、話題性を持たせることに尽きる。
連続ドラマは第一話で視聴者に興味を持たせるのが勝負であるのは、いつの時代も変わりはない。特に最近ではショート動画の定番化によって、若い世代を中心に飽き性に拍車がかかっている。スタートしたテレビドラマの視聴を継続させるきっかけは、すべて第一話にかかっているといっても過言ではない。

◆トレンド入り狙いに疲れ気味?

「ラブシーンから始まってびっくりした~」
「衝撃~」
「岡田結実、大胆じゃない?」

真偽は不明だけれど、そうSNSが騒いでいるとネットニュースが取り上げている。ドラマだけではなく、最近のJ-POPにはほとんどイントロがないのが特徴だ。平成のように「いつ始まるの?」とイントロが長い曲は、経済や流行の能動隊になるショート動画世代にはすぐ飽きられてしまう。まあ、カラオケが娯楽のスタンダードだった世代には、マイクを替わるまでの時間ができて良かったけれど。

ただ、ドラマにおいて「第一話の冒頭に強い驚き」を持たせ過ぎるのは、どうだろう? と首を傾げる。そもそも連続ドラマは全話の最中に物語の緩急があって成立するもので、醍醐味だ。思い返すと前述したラブシーンなどの数々は、平成であればドラマの終盤で登場するもので「やっと結ばれた……!」と、視聴者は固唾を飲んで見守ったものである。では第一話でクライマックスシーンがきてしまったら、視聴者の感情はさらに大きな衝撃を求めるようになるし、製作陣はその期待に応えていく努力が必要になる。縮図を考えているだけで、疲れそうだ。


この風潮、どこか”ネタバレOK”にも似ているなあと思いつつ、イチドラマファンとしては、今度の連続ドラマがどうなってしまうのかやや不安でもある。この夏にリバイバルされた『GTO』(カンテレ、フジテレビ系)が28年前と変わらないことをしていても注目が集まるのだから、深夜ドラマにも違ったトレンドの持たせた方があると思いたい。

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