木村多江は、映画『ぐるりのこと。』について、「『やっと私、役者のスタートラインに立てたんだ』と思える映画になった」と振り返った。
監督とともに役に向き合った当時を回顧し、本作が自身に与えた影響について語った。

○木村多江が『ぐるりのこと。』撮影秘話を語る

映画『ハッシュ!』『ぐるりのこと。』の4Kリマスター版公開記念となるプレミア先行上映&トークイベントが20日に都内で開催され、田辺誠一、片岡礼子、木村多江、リリー・フランキー、橋口亮輔監督が登壇した。

『ぐるりのこと。』(08)は、何があっても2人でいることをあきらめない1組の夫婦の10年を、90年代に起こった社会的事件を背景に描いた作品。木村は生まれたばかりの子の死をきっかけにうつになる妻・翔子、リリーは彼女にただ寄り添い続ける法廷画家の夫・カナオを演じた。4Kリマスター版は、7月24日からシネマート新宿、シネスイッチ銀座、渋谷ホワイトシネクイントほか全国で順次公開される。

18年ぶりに公開される本作について、木村は「撮り終わって映画を観たときに、私はリリーさんの演じているカナオのようになりたいなって。誰か困っている人や苦しんでいる人がいたら、そっとそばに寄り添える人間になりたいなと思って、この映画を終えたんです」と回顧。

また、「橋口監督の作品は普遍性があって、現代にもたくさんの翔子がきっといらっしゃると思う」と語り、「時代が変わってもこうやって4Kでみなさんのもとに届くのは必然的なんじゃないか、みんなが必要としている映画なんじゃないかなと思っています」と思いを明かした。

さらに、撮影時を振り返り、木村は「それまでもお仕事をたくさんやらせていただいていたけど、自分の中の人に見せたくない部分とかには蓋をして、その上でお芝居していたんです。
でも『ぐるりのこと。』で監督と一緒に追い込まれていって……蓋を開けて、嫌なこと、つらいことを吐き出すんだと覚悟を持ってやったんですけど、やっぱり実際にものすごく苦しくて」と当時の苦しみを吐露。

そして「でも、それで初めて、10年以上役者をやっていたのに『やっと私、役者のスタートラインに立てたんだ』と思える映画になった」と、『ぐるりのこと。』が自身にとって大きな存在であることを明かした。

○映画『ぐるりのこと。』ストーリー

生まれたばかりの子の死をきっかけにうつになる妻・翔子(木村多江)と、彼女にただ寄り添い続ける法廷画家の夫・カナオ(リリー・フランキー)。何があっても決して離れない1組の夫婦の、バブル崩壊後の90年代初頭から9.11テロに至るまでの10年を、90年代に世間を震撼させたさまざまな社会的事件を背景に描く物語。

『ハッシュ!』後、自らうつになった経験を振り返り、「人はどうしたら希望を持てるのだろう?」と自問した橋口亮輔がたどりついた、「人と人とのつながりの中にしか希望は生まれない」という答えがここにある。
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