【あの頃、テレビドラマは熱かった】


 「ゴールデンボウル」
 (2002年/日本テレビ系)


  ◇  ◇  ◇


 1990年代後半、ほとんど“J劇場”という感じであの事務所のアイドル主演作が続いていた日本テレビ土9。もちろんそれで視聴率はそこそこ稼いでいたのだけど、21世紀初頭は少し路線を変えたように見えた。

それまで主にティーン層向けだったのが、年代を高めにしたりファミリー向けにしたり。


 そんな土9模索期の2002年春クールに放送されたのが、金城武(当時28=写真)主演の「ゴールデンボウル」だった。潰れかけたボウリング場「ゴールデンボウル」に地上げ屋が現れてオーナーに売却を迫り、なぜか“ボウリング対決”を持ちかける。金城武はゴールデンボウルの常連客の証券マンで、同じく常連客の黒木瞳(同41)とペアを組んでその地上げ屋が送り出すボウラーと対決する……という話。


 毎回変わる対戦相手は、オタクキャラの堺雅人(同28)や、陽気な芸者の木村多江(同31)に、そのまんまアイドル松浦亜弥(同16)などがいた。


 で、大ざっぱにいうと金城武と黒木瞳がボウリングしながらのラブコメ展開になるんだけど、実に不思議なドラマだった。なにしろ、脚本が、あの野島伸司。暴力、殺人、レイプなどが出るのが当たり前の“衝撃作”や“問題作”で数々の高視聴率ドラマを世に送り出したヒットメーカー。それにしてはあまりにも牧歌的で、むしろ野島作品の中では“異色作”かもしれない。


 ゲーム中に交わす金城武と黒木瞳のテンポよいかけあい、ピンの残り方や倒し方も使いながら、2人の恋の行方を表現するのはいい。でも、ヒリヒリするような場面はほぼなし。むしろ“野島節”をわざと封印したようにさえ見えた。


 ああ、でもひとつあった! それがエンディングテーマとして採用されたポール・アンカの「You Are My Destiny」。♪ゆー、あー、まぁい、でーーすてにぃぃぃ──あの大げさな歌い出しとアレンジが印象的な、当時でも“往年”の名曲が随所に流れていた。ほかにも「ダイアナ」とか「ロンリーボーイ」とか、日本でのボウリングブーム全盛期を知っている世代はぐっとくる楽曲が、なんとも言えない味を醸し出してたっけ。ストーリー展開を薄めにしたぶん、こっちでお楽しみくださいということか?


 アジアのスター金城武の日本の連ドラ最後の出演作品は、野島脚本なのに誰も死なない“問題作”だった。いやもう、土曜のゴールデンタイムに「金玉」なんてタイトル自体が問題作だって。あ、ちなみに「ゴールデンボウル」というボウリング場は、ドラマとは何の関係もないけど富山県にあるようです。


(テレビコラムニスト・亀井徳明)


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