レビュー

「ちゃんと説明したはずなのに、なぜか伝わっていない」。多くの人が、そんな経験をしたことがあるはずだ。

会議で情熱的にプレゼンしたのに反応が薄い。部下に丁寧に仕事を教えたのに動いてもらえない――。本書を読めば、その原因が見えてくるだろう。
本書は、説明がうまい人が頭の中で何を考え、どう言葉を組み立てているのかを、具体例を交えながら丁寧に言語化した一冊である。
著者の犬塚壮志氏は、業界最難関とされる駿台予備学校の採用試験に25歳という当時最年少で合格し、3000人以上を動員する人気講座を生み出した実績を持つ。現在は企業研修やプレゼン指導なども手がけ、受講満足度95%超という高い評価を得ている。
本書で特に印象的だったのは、「説明がうまい人は、『何を話すか』ではなく、『何を話さないか』を考えている」という指摘だ。多くの人は、「ちゃんと伝えなければ」と思うあまり、情報を詰め込みすぎてしまう。しかし本当に大切なのは、相手が迷わず最初の一歩を踏み出せることである。だからこそ、情報はできる限り削ぎ落とし、相手の行動に必要なことだけを届ける必要があるのだ。
本書は、若手からベテランまで、誰かに説明する機会があるすべての人に役立つ一冊である。読後には、説明とは、相手が求めている情報を、相手が受け取りやすいように伝える姿勢なのだと理解するはずだ。
仕事のコミュニケーションや人間関係を改善したい人に、ぜひ手に取ってほしい。

本書の要点

・相手が求めている情報を的確に伝えなければ、聞き手はすぐ興味を失ってしまう。説明がうまい人は、会話の最初の5分で相手の「好きなこと」や「価値観」を引き出し、その後の説明に自然に織り交ぜていく。
・聞き手の中に「スキーマ」が存在しない場合、脳は情報をうまく処理できない。説明がうまい人は、相手の「辞書」に合わせて情報を「翻訳」するなどして、この壁を越えている。
・説明する前には、「相手」「目的」「シチュエーション」という3つの視点で、情報を伝える順番を整えるとよい。



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