レビュー

大切な家族、部下、友だちだからこそ、成長を願ってアドバイスしたくなる。しかし、どうにも思いが伝わらない。


編集者として長い経験をもつ著者は、「どうやればより伝わるように話せるのか努力していた」エキスパートである。だからこそ、「『アドバイスをする』ことが本当に最善なのだろうか」という疑問に突き当たる。ときには「正しさ」の押しつけになることもあるアドバイスよりも、「どこが面白かったのか、どこに心が動いたのか」を表した素朴な感想によって、作家の創作活動が刺激を受ける場面を何度も目撃してきたという。
けっして評価することなく、相手に考えるきっかけを与えることが、著者の目指すフィードバックだ。しかもそれは、「市場や読者といった『外の世界』を意識した、具体的なフィードバック」である。一般的なコーチングとはそこで線引きがされているのが本書の特徴だ。
本書を「伝える/伝わる」というコミュニケーションの側面で捉え返してみれば、驚くほど普遍的な内容といえる。編集者という存在は、友だちの話の聞き役であり、愚痴をこぼしあう同僚であり、一緒に針路を見つけてくれる上司であり、会議のファシリテーターであり、怒れる相手のネゴシエーターであり……すなわち、誰もが必要としている“人間”なのだ。生成AIになんでも相談する人の増えている現代、このきわめて“人間的”フィードバックを見つめてみることには、かならず意味がある。
クリエイティビティを生み出す思考に関心がある人も、そうでない人も、一読をおすすめしたい。

本書の要点

・編集者のフィードバックは、「アウトプットに対して、その背景や意図に寄り添いながら反応を返し、理想に近づくように改善や成長を促す営み」だ。
・本当に必要なのは感想、すなわち「自分の心が動いた事実や、違和感を率直に言葉にすること」である。


・感想を「相手にとって意味のあるフィードバック」にするためには、型を意識するとよい。
・感想を言語化できても、それがいつもそのまま正しく伝えられるわけではない。周囲との関係性のなかで歪みがちな「自分の鏡」という存在を認識しておく必要がある。



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