レビュー
わたしたちが学校で教えられる「女性の歴史」は、時代が進むにつれて女性が少しずつ自由や権利を獲得していく――そんなイメージではないだろうか。それは部分的には正しいが、著者は「女性の歴史は、そのような“直線的なグラフ”にはならない」と語る。
女性の歴史は、社会の仕組みやイデオロギー、さまざまな思い込みに翻弄されながら、うねうねと上下する曲線のような道をたどってきた。
要約者にとって発見だったのは、一般的な歴史観と、女性の視点から見たそれとが必ずしも一致しないという点だ。たとえば「暗黒の時代」と呼ばれるヨーロッパ中世、女性たちには職業選択の自由があり、さまざまな場で活躍していた。しかし、「夜明け」とされるルネサンス時代になると、それらは徐々に失われ、女性たちは家に閉じ込められていく。活版印刷機という大発明が、結果として「魔女狩り」を広める一因になったというのも皮肉な話である。
しかし、どのような時代にあっても、女性たちは声を上げ、行動し、表現することを諦めなかった。著者は、歴史の授業では教えられない、勇敢で魅力的な女性たちの姿を紹介していく。
著者はフランス人女性ジャーナリストで、本書の内容の中心となるのはヨーロッパ、とりわけフランスだ。歴史教育は国によって異なると言われるが、フランスの教育観の一端を垣間見られるのも興味深い。
本書は、女性の歴史をめぐる新たな視点を与えてくれる一冊だ。読み進めるほどに、目から鱗がぼろぼろと落ちていくだろう。
本書の要点
・女性の歴史は、支配と解放の繰り返しである。
・新石器時代に入ると定住化と農業・牧畜がはじまり、女性は毎年子どもを産むようになった。この変化により、社会に暴力と支配が生まれる。
・中世ヨーロッパでは女性にも職業的自由があり、さまざまな場で活躍していた。ルネサンス以降はそれが狭められ、社会的・職業的自律性を失っていった。
・19世紀には「領域の分離」理論が登場し、「男は外、女は家」という価値観が加速した。
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