レビュー

「毎日新刊本100冊見てる書店員」として、Xで本や書店の魅力を発信する著者の必殺技は、「褒め殺し」にちがいない。要約本文でも思わず引用したが、月に5冊以上読んでいたら「大谷翔平選手レベル」などと、湧き出る泉のような豊かな褒め言葉で「本を少しでも読む人」の自己肯定感をエベレスト級まで爆上げしてくれる。


一方で、本や書店に対する心理的ハードルはこれでもかと下げまくる。理想の「読書家」や「読書」に向けて架かっていた壮大な橋は、気が付けば平均台ほどの高さになっている。
著者は冒頭で「毎日欠かさず本を読んでいるような『読書好き』の人には、少し物足りなく感じさせてしまうかもしれません」と断りを入れるが、本書の射程は実は幅広いだろう。たとえ「読書好き」を自認していても、“鬼教官”のように厳しいノルマを自身に課してしまう人は少なくない。年に何十冊も読んでいないと「趣味は読書」とは言えない、開いたら最後まで読まなければならない、「積読」は悪いことだ……。本書はそんな、多くの人の心に深く根を下ろした読書への近づき難さを的確に捉え、丁寧に、軽やかに引き剝がしていく。
月に1冊読むのが精いっぱいの要約者は、大谷選手レベルには程遠くても、本書の基準で言えば「十分に読書家側」に入り、しかも達人レベルの「積読家」であることがわかった。そんな風に自信が持てたところで、買い物ついでに書店に行ってみよう。「書店に行くとだいたいイイコトが起こる」と確信して。

本書の要点

・読書は修行ではなく、娯楽である。高尚なイメージを捨てて、もっと自由に楽しんでいい。
・2カ月に1冊も読んでいるなら、「趣味は読書」と言っていい。


・本屋は、心と体が楽になるサプリのような場所である。本を買う予定がなくても、気軽に立ち寄ってほしい。
・1日に30分読書するだけで自己肯定感が上がり、その日の満足感を補える。
・積読に罪悪感を持つ必要はない。何を読むか迷ったら、一番上にある本から読んでみよう。



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