レビュー
自分の考えや意見をうまく言葉にしたいのに、「ヤバい」「すごい」しか出てこない。言語化力を磨きたいと思いながらも、何から始めればいいのかわからない――。
著者の川岸宏司氏は、複数の会社を経営する実業家である。学歴なし・月収14万円から読書を通じてビジネススキルを磨き、現在はXで10万フォロワーを超える発信者としても活躍している。本書では、かつて言語化が苦手だった自身の経験を明かしながら、「感情を言語化する力」を磨く過程で培った実践知を惜しみなく公開している。
本書の特徴は、言語化力を高めるプロセスを5つのステップに分けて解説している点だ。「言葉のタネ」を見つけることから始まり、「思考のバネ」を鍛え、自分の考えを整理し、相手に伝わる表現へ落とし込み、最終的には人を動かす言葉に仕上げていく。
中でも印象に残ったのは、「言葉のタネ」を拾うという考え方だ。私たちは日常的に「すごい」「ヤバい」といった便利な言葉で思考を終わらせてしまう。しかし著者は、「期待とのズレを見る」「細部のこだわりを見る」「変化の度合いを見る」「背景や文脈を見る」という4つのレンズを通して感情を掘り下げることで、自分だけの言葉を発見できると説く。「ヤバい」「すごい」の奥に、自分だけの言葉のタネが眠っているのだ。
本書は、話す・書くを問わず、「自分の考えをうまく言葉にできない」と感じている人に勧めたい。本書で紹介されるトレーニングを実践していけば、自分の感情に対する解像度が高まり、伝えたいことを以前より自然に言葉にできるようになるだろう。
本書の要点
・「ヤバい」「すごい」と感じた瞬間は言葉のタネを見つける好機である。
・非日常によって「思考のバネ」を圧縮することで、新たな視点や言葉が生まれる。
・伝わる言葉とは、抽象的な「3階の言葉」ではなく、映像でイメージできる「1階の言葉」である。「誰が、いつ、どこで、何を」に五感を加えることで、相手の記憶に残りやすく、行動を喚起する言葉になる。
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