レビュー

人生においては、悩み、立ち止まる場面が数え切れないほどある。社会に出ればなおさらだ。

「仕事で失敗してしまった」「どうすれば信頼される人間になれるのか」「この挑戦をすべきだろうか」――。しかし、その悩みを相談できる人は意外と少ない。
そんなときに手に取りたいのが、本書である。
著者のキングスレイ・ウォード氏は1932年生まれの実業家だ。本書は実の息子へ宛てて書かれた30通の手紙をもとに構成されており、多くの読者の共感を呼んで、ミリオン・セラーとなった。経営の現場で培った知恵が凝縮されていること。そして、それが不特定多数ではなく、大切な息子へ向けて書かれていることが本書の最大の魅力である。
さらに、著者自身の考えを押しつけていない点も、本書が愛される理由だろう。大学進学を迷う息子には挑戦する勇気を説き、契約を逃した息子には誠実さの価値を語り、新任管理職となった息子には経験不足との向き合い方を伝える。
また、どの手紙にも共通しているのは、「人格こそが長期的な成功を支える」という考え方である。父親は、息子の挫折や失敗を決して責めない。それよりも、その経験から何を学ぶかと、苦しい局面でも誠実さを失わないことを重視しているようだ。
だから読んでいて説教臭さがない。
本書は若手ビジネスパーソンだけでなく、管理職や経営者、さらには子どもを持つ親にもおすすめできる一冊だ。仕事で迷ったとき、本書は長く通用する原則を示してくれる。読み終える頃には、「どんな人間でありたいか」を考えるようになっているはずである。

本書の要点

・人生を変える機会は挑戦する者に開かれる。失敗を恐れず優れた環境に飛び込み、経験を通じて成長しよう。
・成果を逃しても、誠実さや信用まで失ってはならない。敗北から学び、自らの人格を守りながら前を向くことが、長期的な成功につながる。
・経験不足を恐れる必要はない。ただし軽視してもならない。事実を集め、学び、考え抜く姿勢を持ち続けることで、経験はやがて大きな力となる。



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