【今週グサッときた名言珍言】


「おかげでいい感じに熟成されましたよ!」
小手伸也フジテレビ系「1分トークの祭典! THEトークワン」6月6日放送)


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 40代半ばでブレークし、「シンデレラおじさん」を自称していた俳優の小手伸也(52)。それまでは舞台中心に活躍していた。

転機は2003年に野田秀樹主宰の「NODA・MAP」の本公演に出演したこと。一般公募のワークショップに参加し、その中で評価されて勝ち取ったのだ。


 小手が任されたのはコメディー部分。できるだけ客席を沸かせたくて、前へ前へ出て、かなり結果を出したつもりだったという。しかし、打ち上げで共演者の古田新太に「おまえの名前、演出用語になってるぞ」と言われた。よくよく聞くと“客席寄り”の芝居をすることを「小手る」と呼ばれ、「小手ってるから小手みたいな芝居するな」などと使われてしまっていたという。


 さらに、そうならないように気をつけて演じた舞台を古田が見て、今度は「なんか、つまんなくなったな」と言われ、「そこから10年続く迷宮の時代が始まった」とオチをつけ、小手が語った言葉を今週は取り上げたい。


 もちろん、この一連のエピソードは1分トークとして語ったことゆえ、多少の脚色はあるだろうが、その後、10年間ほど大きな仕事に恵まれなくなったのは事実。「NODA・MAPに出たことでやはり少し浮かれて、そのしっぺ返しをくらったなと(笑)」(朝日新聞出版「AERA」19年9月2日号)とも振り返っている。


 それでも「腐らないこと」と「人との縁をつなぎ続けること」を心がけ、目の前の仕事に向き合った。すると、ある舞台を見たプロデューサーの推薦で大河ドラマ「真田丸」(NHK)に抜擢された。「『真田丸』があったからこそ自分がドラマでどう頑張れば良いのかも分かるように」なったという(スポーツニッポン新聞社「スポニチアネックス」19年6月2日)。


 しかも主演は、同じ早稲田大学出身で同時代に演劇サークルのスターだった堺雅人。縁を感じた。さらに脚本の三谷幸喜に気に入られ、三谷の舞台にも出演。彼のドラマを見た脚本家の古沢良太により「月9」ドラマ「コンフィデンスマンJP」(フジテレビ系)のメインキャストに抜擢された。


 冒頭の番組では、アンタッチャブルのザキヤマ、テレビプロデューサーの佐久間宣行、バレーボール男子イタリア代表のデジョルジ監督……とドッペルゲンガーのようにそっくりな人物が現れ、「この世界に僕は、何人いるんですか?」と嘆いてみせた小手。けれど、ドラマに出れば唯一無二。「小手る」はもはや揶揄ではない。ひとたび画面に映れば、誰もがクギ付けになってしまう強烈な存在感を放つことだ。


(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)


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