【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#71


 アルバム『リボルバー』(1966年8月5日発売)①


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 ビートルズのオリジナルアルバムを14枚とすると(解散後発表の『パスト・マスターズ』を除く)、7枚目『リボルバー』は、ちょうど前半終了時点ということになる。


 そして、ビートルズが来日した1966年のリリースであり、つまりは、今からちょうど60年前の作品ということで、あらためて聴くのに、いいタイミングだ。


 さて「ビートルズを聴き始めるなら、『リボルバー』から」という論をたまに見かける。私もほぼ賛同。


 理由として、まず、ある程度の統一感があって聴きやすいこと。中期ビートルズ3枚の中で、まだまだ混沌としている『ラバー・ソウル』、逆に、統一感があり過ぎて窮屈な『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』に比べ、「適度に混沌、適度に統一」という感じのアルバムなのだ。


 また、サウンドが、何というか「ロック」なのもいい。「そもそも、ビートルズはロックじゃないか」という意見もあろうが、アルバム全体の印象が、エレクトリックでハードで、かつ(妙な言い方だが)金属的。いわゆる「ロック」という観念に近いことも、現代において、聴きやすい理由となる。


 そして、メンバーのバランス問題。ここまで見てきたように、当初はジョン1人がずぬけていた中、『ヘルプ!』あたりからポールがめきめきと頭角を現し、このアルバムではジョージ作の曲が3つも入っている。アルバムの顔と言っていい1曲目もジョージ作。


 リリースから60年後の今、デビューから一曲一曲批評している身として、「あぁビートルズがビートルズになったなぁ」という、今さらながらの感慨が押し寄せてくる。


 さらには、楽曲のバランスもいい。

突出した曲もなければ、明らかな駄作もない。『イエロー・サブマリン』みたいなノンキな曲も、『シー・セッド・シー・セッド』という濃い曲の前に聴くと、実にいいんだな。


 長くなったが、以上の理由により『リボルバー』が「初めてのビートルズ」にいいと思うのだ。


 このアルバム発表と相前後して、ビートルズはコンサート活動を中止している。ライブから解き放たれた4人が、スタジオの最新技術とワチャワチャ格闘しながら仕上げた一枚を聴いてみよう。


 まずはジョージ作のアルバム1曲目。歌詞のテーマは何と──税金!


▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。


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