高市政権が成立を急ぐ欠陥法案の中でも特にヤバいもののひとつが個人情報保護法(個情法)の改悪だ。8日の参院特別委員会で改正案が可決。
現行法では個人情報の第三者への提供について「本人同意」の取得が原則になっている。今回の改悪は、本人同意の原則を取っ払う規制緩和、いわゆる「統計特例」が目玉。AI開発や統計作成の目的であれば、国や自治体、国内外の企業、果ては個人事業主までもが、病歴や信条、犯罪歴などの「要配慮個人情報」を本人同意不要で取得できるようになる。
問題は、AI開発の名の下に個人情報がダダ漏れになることだけではない。
情報漏洩や不正利用が発覚した時の罰則・被害者保護にも大穴が開いているのだ。
今回初めて導入された課徴金制度を巡り、政府は当初、納付命令の対象として①目的外利用②本人同意に違反して取得した情報の利用③大規模な個人データの漏洩等の発生──を検討していた。ところが、「事業者を萎縮させる」と反発した経済界の要望を受け、内容が大きく後退。経済団体のロビー活動に屈した。
■緩いペナルティーでは…
「命令対象は、悪質性や権利侵害の具体性があり、かつ『被害者1000人以上』の場合に限定されました。課徴金額も、違反行為によって得た利益の相当額に抑えられ、ペナルティー効果に乏しい。消費者団体が熱望していた『団体訴訟制度』も、経済界の抵抗を受けて落とされました。
一応、付帯決議には〈実効性ある課徴金制度の構築に努めること〉〈団体による差止請求制度及び被害回復制度について、導入に向けた検討を引き続き行うこと〉とあるが、2020年改正で付帯決議に盛り込まれた「課徴金制度の導入」を今まで与党議員が突っぱねてきた経緯がある。議論が先送りになったことに変わりない。
個情法を所管する個人情報保護委員会の年次報告によれば、昨年度の情報漏洩などの報告件数は過去2番目の1万9417件。過去最多の一昨年度を下回ったが、名簿業者が特殊詐欺グループに個人情報が渡る可能性を認識しながら情報提供した悪質事案も発生している。個人情報も被害者も「保護」できない法律では、ますます不安は募るばかりだ。
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