【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#301


 滝音


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 7月20日に行われた漫才とコントの二刀流「ダブルインパクト2026」で優勝した滝音はNSC大阪の先輩後輩コンビ。キングオブコントでも、関西の大会で優勝候補に挙げられながらなかなか結果が残せませんでしたが、ついに大舞台で花を咲かせてくれました。


 漫才では「言葉遊び」を中心にしたネタで、お客さんのわかりやすい=笑いやすいフレーズをうまく並べていました。言葉遊びネタは作りやすい半面、小さくまとまって、面白かった程度で終わってしまいがち。そこを「ボケだけで笑わせる」パターンと、ボケに対して「ツッコミで笑わせる」ターンとを織り交ぜ「記憶に残る笑い」にしていました。コントも動きの少ない設定の中で、やはり意外な展開の「言葉遊び」を盛り込み、滝音らしさを出していました。


 優勝した翌日、数年ぶりに電話をしました。ネタ作りは2人で同じテーマを持ち帰り、出し合うそう。私はこの優勝をきっかけに一日も早く作家、ブレーンを入れるべきとアドバイスしました。ブレーンを加えると、1人加わっただけでも5馬力以上、ネタの鮮度と意外性を進化させていけるので、この先の芸人生命を考えて、自腹でも“先行投資”したほうがいいからです。


 滝音の目指す漫才は「日常会話の延長」。たわいもない話から、「そこまで広げていくか?」というネタをぜひ作って“令和のいとしこいし”になって欲しいと思っています。


 秋定君は「NSCで(前のコンビ時代に)高評価していただいていたのが自信になりました」と私との思い出を語ってくれました。漫才劇場で「徹夜でネタを考えて、楽屋の床で寝ていた時に“こんなとこで寝るな!”て、怒られると思ってたら“新聞でもなんでもええから下に敷いて、マスクして寝な、カゼひくぞ”って言ってくださったのが一番うれしかったです……売れてもない芸人にそんな心配してくれる方はいませんでしたから」と、普通に言ってることをそんなふうに感じて覚えていてくれたことにうれしくなりました。


 大分市出身のさすけ君は、芸人になるために関西を目指し、大阪大学へ。「一番費用のかからないのが大阪大学やったんで……」と阪大を目指して猛勉強をしている受験生がズッコケる答えが返ってきて「そんな理由で阪大行くヤツ珍しいで」と笑ってしまいました。


 秀才なのに天然のさすけ君、小さなことでも感激してくれる秋定君、個性の違う2人が織りなす笑いの形が個性になっています。その形に固執せず、また形を崩すことも恐れず、わかりやすく楽しい漫才・コントを作ってくれることを期待したいと思います。


 今回で連載は終了します。気づけば301回にもわたる長期連載になりました。長い間ご愛読ありがとうございました。(おわり)


(本多正識/漫才作家)


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