最大震度7を記録した「令和8年熊本地震」の発生から10日。高市首相の被災地視察が依然として物議を醸している。

高市首相は発災7日目の3日に現地入り。陸上自衛隊のヘリコプターから視察する写真や、BGM入りで視察を振り返る動画を官邸側がXに投稿したことから、〈首相のプロモーション動画だ〉〈災害の政治利用〉などの批判が噴出。女房役の木原官房長官が釈明に追われている。5日の記者会見で「被災地視察の状況をコンパクトにまとめた動画(作成)はこれまでも行ってきている」と強調し、BGMの必要性について「国民に分かりやすく伝えるための手法のひとつだ」と主張。確かに、高市首相の政治姿勢はビンビン伝わってくる。


 問題視されているのは、何かと物議を醸す佐伯耕三内閣広報官が運用するXアカウント「内閣広報官(色々投稿試し中)」による3日の投稿。高市首相がヘリから窓の外へ向けて手を合わせる写真をアップし、〈多くの方がお亡くなりになったイオンモール熊本や日本製紙八代工場などの上空にさしかかると、高市総理は、幾度となく手を合わせていました〉などと書き込んでいた。一次被害のみならず二次被害で命を絶たれた被害者、現実を受け止められない遺族、酷暑の中で厳しい避難生活を強いられている被災者に思いが至っているのかどうか。疑念がもたげてくる内容だ。


 首相官邸の公式アカウントも3日に〈高市総理による、令和8年熊本地震による被災状況視察のための熊本県訪問の様子です〉と書き込み、視察の様子をまとめた2分弱の動画を投稿。BGMとしてピアノの音色が流れ、緊張感が感じられない。


 巷間言われている通り、高市首相の真剣度は怪しい。

この日、公邸を出発したのは午前9時過ぎ。羽田空港から熊本空港へ民間機で飛び、例の上空視察をこなし、被害の大きかった氷川町を訪問。避難所となっている中学校を1カ所視察し、被災者と面談後、木村敬県知事らと意見交換して帰京した。


■安倍元首相は10年前、避難所3カ所を訪問


 高市首相が政治の師と仰ぐ安倍元首相の被災地視察はハードだった。10年前に発生した熊本地震に際し、当初は発災3日目に視察予定だったが、同日未明の本震発生により延期。10日目に繰り延べされた経緯があった。午前6時半には羽田空港に到着し、航空自衛隊のU4多用途支援機で陸上自衛隊高遊原分屯地(益城町)へ飛んだ。駆け足ではあるものの関係各所を回って警察官、消防隊員、自衛隊員などを激励。県知事らとの意見交換を挟み、避難所3カ所を訪問して被災者を激励した。


 2024年の元日に発生した能登半島地震に直面した岸田元首相は、発災14日目に現地視察。午前7時半過ぎに官邸に入り、陸自ヘリで航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市)に飛び、空自輸送機で空自小松基地(石川県小松市)へ。避難所を2カ所訪問し、被災者との意見交換を重ねた。

岸田前首相は在任中に4回、辞任後も3回視察に入っている。


 翻って高市首相は、視察を締めくくる報道陣との質疑応答で手元から顔が明るく照らされていたことから、いわゆる「女優ライト」を持ち込んだとの指摘もある。自己愛の強さには定評があるとはいえ、事実だとしたら呆れるほかない。


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