【今週グサッときた名言珍言】


「創作意欲とか、承認欲求とか、そんなものは最初の10話でなくなりました。ただただ責任」(バカリズムテレビ東京系「伊集院光&佐久間宣行の勝手にテレ東批評」8月11日放送)


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 2027年度前期のNHK朝ドラ「巡るスワン」の脚本に抜擢されたバカリズム(50)。

向田邦子賞や放送文化基金賞の脚本賞など名だたる脚本賞を獲得し、いまや日本有数の脚本家でもある彼は、バラエティー番組の第一線でも活躍する現役のお笑い芸人でもある。そんな彼が全130話にもなる朝ドラの脚本を書くのは驚異的だ。この番組収録時点で残り85話。彼が執筆の実感を語った言葉を今週は取り上げたい。


 そもそもバカリズムが脚本を書くきっかけになったのは、10年発表の短編小説「来世不動産」だった。これを「世にも奇妙な物語 2012秋の特別編」(フジテレビ系)でドラマ化するにあたり「短編ならコントと同じような感じでいけるだろうな」と思い、脚本を自ら書いたのだ(NHK・Eテレ「スイッチインタビュー」24年12月13日)。


 テレビでコントが書けなくなっていた時代。ドラマでならコント的な笑いを作ることができる、と脚本を書き始めた。その後、14年には初の連続ドラマ「素敵な選TAXI」(フジテレビ系)も手がける。「(当時、現役の芸人では)連ドラはまだ誰もやってないんですよ。これは賭けだけど、やれるんだったらやった方がいい」(日本テレビ系「おしゃれイズム」14年12月28日)と、芸人としての「付加価値」を付けるための戦略的な動機もあった。


 あくまでもドラマの脚本はコントの延長線上にあり、その重心が「芸人」であることは絶対に変わらないという。

なぜなら「脚本家に憧れていないから」(フジテレビ系「指原千夏」26年8月1日)。日本映画学校出身だから、よく誤解されるが、別にドラマ好きでもないため、他のドラマもほとんど見ていない。同校に入ったのも芸人になるために近道だと思ったためだ。積極的にドラマの脚本を書きたいわけではないから、オファーが来なくなったら「全然やらない」(同前)と、まったく執着はない。


 だから、よく「脚本家の先生」扱いされてしまうと「立ち振る舞いが、もう本当にいまだにわからない」(同前)と言う。それを聞いた若槻千夏が「もう一人の冷静な自分が強すぎるのかも」と指摘すると「ずーっと、その呪縛から逃れられない」(同前)と語る。取材を受けている時やインタビューカットを撮っている時に「うわ、なにこいつ」「ダッサ、こいつ、脚本家ヅラして」ともう一人の自分が、冷静にツッコんでいる。


 その「もう一人の自分」の強さこそがバカリズムの脚本家、いや、お笑い芸人としての強力な武器になっているに違いない。


(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)


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