9月18日、映画「八つ墓村」が公開される。


 原作は、日本を代表する推理作家・横溝正史。

閉鎖的な村で起こる呪わしい事件の物語は、1951年に銀幕のスター・片岡千恵蔵が名探偵・金田一耕助を演じて映画化されたのをはじめ、これまで何度も映像化されてきた。中でも、金田一を渥美清、事件の鍵となる青年・辰弥を萩原健一、美しい未亡人・美也子を今年世を去った小川真由美が演じた77年公開の映画は、キャッチコピーの「たたりじゃ~!!」が流行語になるなど大きな話題を集めた。


 新作の舞台は現代。ある日、さえない学生生活を送る井川辰弥(奥智哉)のもとに疎遠だった母の訃報が届く。母の足跡をたどり、岡山県の山奥の「八つ墓村」を訪れる途中、辰弥は、風変わりな探偵・金田一耕助(尾上松也)と知り合い、自分が村の名家・田治見家の莫大な財産の相続人であることを知った。遠縁の未亡人・美也子(堀田真由)とともに、重病の異母兄・久弥(滝藤賢一)、双子の大叔母の小竹・小梅(高島礼子)ら親類縁者と対面したが、村人らからは異様な視線を向けられる。不穏な空気の中、村では奇怪な連続殺人事件が起こる。これはたたりか陰謀か?


 今回の新作には、これまでにない注目ポイントがある。


 ひとつは、金田一耕助のキャラクター。金田一といえば、「犬神家の一族」などの市川崑監督のシリーズの石坂浩二、70年代のドラマ「横溝正史シリーズ」の古谷一行をはじめ、よれよれの着物と袴というスタイルも多いが、今回は現代のため、史上もっとも体格がいい(?)金田一の松也はコートに帽子で登場。その性格は、所持金なしでバスに乗車し、初対面の辰弥をあてにしたりする。やたら人懐こく、調子がいい。

ユニークな金田一と、捜査に乗り出してくる岡山県警の磯川警部(小籔千豊)と部下(中村莟玉)とのやりとりも見ものだ。


 もうひとつは、清水崇監督の演出。清水監督は「呪怨」シリーズや「犬鳴村」などJホラーの名手として知られる。特報映像では「ようこそ、最高の悪夢へ」というコピーとともに滝藤が、忌まわしい事件を起こした田治見要蔵の衝撃的な姿を見せている。そこに秘密を握る双子の老婆の高島、恐ろしい呪いのもとになる事件に関わる高嶋政伸、渋川清彦らも加わり、怨念の物語はずっしりと重くなっていく。


 最新の映像技術とともに、鍾乳洞の暗さと湿気、随所に出てくる「面」の醸し出す怖さもある。犯人はなぜ、この事件を起こしたのか。たたりに幕引きはできるのか。過去作のファンも驚かす令和版「八つ墓村」の決着を見届けたい。


(ペリー荻野/時代劇研究家)


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