【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#132


 その後のビートルズ~ポール・マッカートニー②


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 まずは最近の事実について驚いてほしい。昨年秋は、北米をくまなく回るコンサートツアー「GOT BACK 2025」を開催。

そして今年5月、ニューアルバム『ダンジョン・レインの少年たち』をリリース。


 さらに、現在84歳という事実!


 1942年生まれ。小松政夫上岡龍太郎松方弘樹、金正日と同い年の音楽家が、いまだ第一線を張っているのだ。


 そういえばローリング・ストーンズも今年7月に新譜『フォーリン・タングス』を発表。ミック・ジャガーは、ポールの1つ下。同い年はアントニオ猪木樹木希林橋幸夫


 いや、ポールやミックが現役だということをずっと見てきた今では、さして驚かない。


 しかし41年前の大規模チャリティーコンサート「ライヴエイド」に出てきたポール(当時43歳)を見て「老けたなぁ、童顔が老けるとこんな顔になるんか」としみじみした18歳の私に今の事実を告げたら腰を抜かすだろう。


「えっ、41年後、俺が還暦になる頃まで現役やて!?」


 かつて「ドント・トラスト・オーバー・サーティー=30歳を越えたヤツらは信じるな」という言葉があった。ビートルズが世界を席巻した頃、世界中のベビーブーマーが抱いていた上の世代への抵抗感を表したフレーズである。


 そんな抵抗感やムードのリーダーだったといっていいポールとミックが、何と80過ぎても、いまだポップでありロックだったのだ。ドラッグで早逝したライバルたちを尻目に、いまだ現役なのだ。


 驚くべきことだ。そして素直に称賛するべきことだと思う。そしてポップミュージック作りをサステナブルにしたということ。これをポールの功績リストに書き加えなければならない。


『ダンジョン・レインの少年たち』収録の『デイズ・ウィ・レフト・ビハインド』の歌詞には感じ入ってしまう。というか感じ入る年齢にとうとう私もなってしまった。【オリジナル記事で試聴する


「永遠に続くものなど何もない」けれど「誰にも消し去れはしない 僕らが分かち合った過ぎ去りし日々」。


「僕ら」──。


 ポールはいまだサステナブルだ。ジョンはとうの昔に去ってしまったけれど、それがどうした。ビートルズのサウンドはずっとずっとサステナブルなんだよ。


▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。

昭和歌謡から最新ヒット曲まで幅広いジャンルの楽曲を、社会的な視点からも読み解く。主な著者に「中森明菜の音楽1982-1991」「大人のブルーハーツ」「日本ポップス史 1966‐2023」など。半自伝的小説「弱い者らが夕暮れて、さらに弱い者たたきよる」も話題に。日刊ゲンダイの好評連載をまとめた「沢田研二の音楽を聴く1980-1985」、最新刊「日本の新しい音楽1975~」は大好評。ラジオDJとしても活躍。


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