【スージー鈴木のゼロからぜんぶ聴くビートルズ】#132
その後のビートルズ~ポール・マッカートニー②
◇ ◇ ◇
まずは最近の事実について驚いてほしい。昨年秋は、北米をくまなく回るコンサートツアー「GOT BACK 2025」を開催。
さらに、現在84歳という事実!
1942年生まれ。小松政夫、上岡龍太郎、松方弘樹、金正日と同い年の音楽家が、いまだ第一線を張っているのだ。
そういえばローリング・ストーンズも今年7月に新譜『フォーリン・タングス』を発表。ミック・ジャガーは、ポールの1つ下。同い年はアントニオ猪木、樹木希林、橋幸夫。
いや、ポールやミックが現役だということをずっと見てきた今では、さして驚かない。
しかし41年前の大規模チャリティーコンサート「ライヴエイド」に出てきたポール(当時43歳)を見て「老けたなぁ、童顔が老けるとこんな顔になるんか」としみじみした18歳の私に今の事実を告げたら腰を抜かすだろう。
「えっ、41年後、俺が還暦になる頃まで現役やて!?」
かつて「ドント・トラスト・オーバー・サーティー=30歳を越えたヤツらは信じるな」という言葉があった。ビートルズが世界を席巻した頃、世界中のベビーブーマーが抱いていた上の世代への抵抗感を表したフレーズである。
そんな抵抗感やムードのリーダーだったといっていいポールとミックが、何と80過ぎても、いまだポップでありロックだったのだ。ドラッグで早逝したライバルたちを尻目に、いまだ現役なのだ。
驚くべきことだ。そして素直に称賛するべきことだと思う。そしてポップミュージック作りをサステナブルにしたということ。これをポールの功績リストに書き加えなければならない。
『ダンジョン・レインの少年たち』収録の『デイズ・ウィ・レフト・ビハインド』の歌詞には感じ入ってしまう。というか感じ入る年齢にとうとう私もなってしまった。【オリジナル記事で試聴する】
「永遠に続くものなど何もない」けれど「誰にも消し去れはしない 僕らが分かち合った過ぎ去りし日々」。
「僕ら」──。
ポールはいまだサステナブルだ。ジョンはとうの昔に去ってしまったけれど、それがどうした。ビートルズのサウンドはずっとずっとサステナブルなんだよ。
▽スージー鈴木(音楽評論家) 1966年、大阪府東大阪市生まれ。

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