【桧山珠美 あれもこれも言わせて】


 テレビはのべつまくなし食べてばかりで芸がないというようなことを、やや批判めいた気持ちを込めて何度か書いている。


 それはまったくその通りなのだが、おもにバラエティーやニュースの話で逆にむしろ大歓迎なのがドラマの中の食。

その先駆けといえば、やはりテレビ東京だろう。


 ちなみに、私は松重豊「孤独のグルメ」、栗山千明「晩酌の流儀」、武田梨奈「ワカコ酒」を「日本3大呑み食べドラマ」と崇めている。


「孤独~」は現在Season11、「晩酌~」5、「ワカコ酒」は来年1月にBSテレ東で10がスタートとシリーズ化されている。つまりそれだけ支持されているということだろう。


 とりわけ注目は「晩酌の流儀」。


 ほかの2つが漫画原作なのに対して、こちらはオリジナル。栗山演じる伊澤美幸は町の不動産会社に勤務する。仕事は完璧にこなし、お客さまからの信頼も厚い。そんな彼女の人生の楽しみは、一日の終わりにいかに最高の晩酌を味わうか。そのための努力は惜しまない。


 しかもどこか店に入って呑むわけではない。会社帰りに近所の商店街で食材を調達し、自分で酒の肴を作る。

「孤独のグルメ」の井之頭五郎はグルメだが下戸でいつもウーロン茶。「ワカコ酒」の村崎ワカコは酒場をさすらい、一人酒を嗜む。それに対して「晩酌」の美幸は作って食べて呑む。そこが他の2つと大きく違うところだ。食材も、その時々の旬のものから特売になっていたものまで幅広い。それでいて、見ていると自分も作りたくなるほど。


 最近も牛肉のステーキの片面に嘘でしょと驚くぐらいチューブわさびをびっしりと塗りたくって焼いているのを見て、真似してみた。すると劇中で美幸が言うとおり、辛みは飛んでとびきりおいしくなった。安いオージービーフが絶品のステーキに変身した。


 そして、実に見事な食べっぷり。それでいて、あのスタイルをキープしているからたいしたものだ。


 自分のためだけに自分の食べたいものを作って食べる。

これも今の時代にマッチしている。酒はスポンサーのサントリー縛りは仕方がないか。


■お笑い芸人の起用もほどよい


 このドラマのお気に入りは不動産会社の支店長役のおかやまはじめ、後輩役の武田航平、辻凪子などの俳優陣に加え、行きつけのスーパー「ツルマート」の店員役、ロバート馬場裕之と店長役のミスターちんの凸凹コンビをはじめ、肉屋店主の肉山役のナイツ土屋伸之、魚屋店主の魚子役の友近、青果店店主の馬太郎役の片岡鶴太郎らお笑い芸人がワンポイントで出てくることだ。


 先日の放送では片岡鶴太郎が店内でヨガをしていたが、芸人さんの使い方がほどよい。今回は2クールの放送だ。


 芸人の食べ歩き番組にはゲップが出るが、ドラマの「食」は別腹。こちらは食欲をそそられる。


(桧山珠美/コラムニスト)


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