16日の党役員人事に合わせて実施した参院自民の執行部人事。党内ア然の石井準一・参院幹事長の交代で高市首相の参院軽視が改めてハッキリしたが、歴代首相のタブーだった参院の人事という「聖域」を侵食したのは、自ら墓穴を掘ったも同然である。


 高市政権は来月5日にも召集される臨時国会で消費税減税法案を提出。高市首相の「悲願」成就が最大の焦点となる。衆院を数の力で押し切っても、参院はいまだ少数与党で法案の円滑な成立には野党の協力が不可欠。交渉に汗をかく参院自民に本来、高市首相は平身低頭を貫くべきなのに、“参院のドン”石井氏を放逐して神経を逆なでしたのだ。


 臨時国会の会期は69日間で調整中。参院で減税法案の審議が行き詰まれば、小幅延長で憲法の「60日ルール」を発動し、衆院で再可決・成立に持ち込むことも理論上は可能だ。ただ、そこまで高市首相が強引な手段に出るのは「参院自民は不要」と宣言するようなものだ。いっそう亀裂が深まり、全面戦争に陥りかねない。


 進んで窮地に突っ込む高市首相に助け舟を出しそうな“お人よし”政党も存在する。公明党だ。


 与党が来年4月の食料品の消費減税とセットで実施を目指す税率1%相当分の現金給付について、公明の西田幹事長は15日付の日経新聞紙上で「今秋にも前倒しでやるべきだ」と主張。この発言を「減税法案の賛成条件」と見なす意見が永田町で浮上しているのだ。


■なかなか抜けない「下駄の雪」感覚


 参院で与党と共に公明(21議席)が賛成に回れば過半数を超え、減税法案は楽々成立する。


「3党合流が破談となり、公明はジリ貧状態。『高市首相が代わるまで与党に戻らない』と意地を張り続けても上がり目はない。将来の連立復帰の足場として、減税法案の審議は自民に大恩を売る好機。今秋はムリでも『年内』や『年明け』の前倒しなら、自民の譲歩も見込めます。物価高の最中に現金を早期に配れば有権者も喜ぶ。その成果を来春の統一地方選でアピールする思惑もありそうです」(政界関係者)


 連立離脱から間もなく1年。自民と26年も培ってきた権力の「甘い汁」と踏まれてもついて行く「下駄の雪」の感覚を払拭するには、時間が短すぎる。


  ◇  ◇  ◇


 政府は来年4月実施を目指す食料品の消費税減税に関し税制改正大綱案を提示したが、肝心の財源論は先送りだ。関連記事【もっと読む】消費税減税「財源先送り」が円売り・債券売りの“火種”に…政府の《市場の信認得られるよう》遠のくばかりで詳しく報じている。


編集部おすすめ