これが、本来の「フジテレビらしさ」ではないか。9月12日放送の「ジャンクSPORTS」は「西山世代」と題して、元広島東洋カープ・西山秀二にスポットを当て、佐々岡真司(元広島)、正田耕三(元広島)、岡崎郁(元巨人)、山本昌(元中日)、片岡篤史(元阪神)という縁のある人物が登場した。

19日放送でも「西山世代」の秘話が明かされる予定だ。


「松坂世代」「ハンカチ世代」(マー君世代)などの呼称は一般にも浸透しているが、球界の中でも「西山世代」という言葉は存在しない。しかも、「松坂世代」のように同じ学年というくくりではなく、単に西山と関係のある人をパネラーとして呼んだだけで一見、無謀な企画にも見える。


「いや、素晴らしい挑戦ですよ。『フジテレビらしさ』は一般的に"明るさ"や"楽しさ"だと思われていますが、本当は『目を付けた素材を推していく勇気』なんですよ。久しぶりにフジの見せた冒険であり、この姿勢が今のテレビに求められていると思います」(テレビ局関係者=以下同)


■独自の価値観で生まれたタモリの「笑っていいとも!」と女子アナブーム


 黄金期を築いた1980年代のフジテレビは、局全体に新しい価値を生み出そうという精神が宿っていた。


「タモリを『笑っていいとも!』の司会に起用した時、多くの人が『タモリは昼に向いていない』と批判し、タモリ自身ものちに『江頭2:50が司会をやるようなものだった』と振り返っています。しかし、『いいとも』は国民的人気番組となり、31年半も続いた。初代プロデューサー横澤彪氏が進取の精神を持ち、自らの眼力を信じてタモリを抜擢したから、成功したのです」


 素人を有名人にする「オールナイトフジ」「夕やけニャンニャン」、無名の若手の紹介する「冗談画報」などフジには"ゼロイチ思考"があった。


「女子アナブームを作ったのもそう。フジは流行発信地でした。『楽しくなければテレビじゃない』はあくまで表面的なことで、本質は他人とは異なる独自の価値観を持つことであり、物事を見抜く目でした」


 だが、2011年以来続く低迷期になると、パクりが度々指摘されるようになった。

21年には「超絶!THE空中サバイバル」が、読売テレビ「体感!奇跡のリアルタイム」のVTR構成、ナレーション、字幕の表記がほぼ一致するという失態を犯す。


 22年には「呼び出し先生タナカ」が自局の「めちゃ×2イケてるッ!」の「抜き打ちテスト企画」に酷似していると話題になった。


「いつの間にか、周りの作った流行に乗るようになってしまった。80年代のフジで最もカッコ悪いと思われた『数字のいい番組をマネればいい』という考え方が蔓延してしまった。もう1つの低迷の原因は、安易な懐古主義でしょう。反町隆史主演で、98年に最高視聴率35.7%を取ったドラマ『GTO』の新作を7月から放送していますが、最近の世帯視聴率は3%台にまで落ち込んでいます」


「ジャンクSPORTS」は番組で何度も笑いを取ってきた西山秀二にスポットを当て、メインに昇格させた。現役時代、捕手で地味なイメージのある西山の抜擢は勇気が要ったはずで、片岡篤史は「テレビ新広島でもやってない」と驚いた。


「もともとのキッカケはYouTubeでのトークなんでしょうけど、普通なら『さすがに西山さんメインは……』と躊躇するはず。しかも、西山は華やかなフジテレビのイメージとはかけ離れていますからね。そこを乗り越えて放送したところに、大きな意味がある」


 59歳の元プロ野球選手にスポットを当てた「ジャンクSPORTS」に、フジ復活のカギが隠されているかもしれない。


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