フィリピン・ミンダナオ島南部を襲ったマグニチュード(Mw)7.8の大地震は、2026年6月15日で発生から1週間が経過した。現地メディアのインクワイアラー(Inquirer)やなどの報道によると、国家災害リスク削減管理評議会(NDRRMC)や社会福祉開発省(DSWD)がまとめた最新の被害状況で、これまでに65人の死亡が確認された。
隣国インドネシアでの犠牲者1人を合わせると死者は計66人に達し、行方不明者は30人から40人に上っている。負傷者は1400人を超え、被災者はミンダナオ島内の広範囲な4つの地域で計55万3068人に及ぶなど、被害の全容とともに深刻な状況が明らかになってきた。

その他の写真:FBから、現地ラジオ局入居ビル 倒壊の様子

 今回の地震は8日午前7時37分に発生した。フィリピン火山地震研究所(PHIVOLCS)の分析によると、震源地はサランガニ州マアシムの西32キロの沖合で、南方に位置する沈み込み帯であるコタバト海溝(Cotabato Trench)の活動による逆断層型地震とされる。揺れの強さを示す独自の震度階級では、きわめて破壊的な揺れを意味する「震度8」(日本の表記では震度5強から震度6弱程度)を観測した。ミンダナオ島最大の都市であるダバオ中心地からこの震源地までは、南西へ直線距離で約150キロ離れているが、ダバオ市内でも強い揺れを記録した。

 現地で特に衝撃を与えているのが、新学期初日の朝という最悪のタイミングで災害が起きたことだ。フィリピン通信社(PNA)などの報道によると、当日は長かった夏休みが明け、数百万人の児童や生徒が一斉に登校した始業直後だった。サランガニ州やダバオ・オクシデンタル州の公立学校では、激しい揺れに見舞われた子どもたちがパニック状態で教室から校庭へ避難する事態となった。各地で多くの校舎が損壊したため、全域で安全確認のための休校措置が取られており、子どもの教育環境への長期的な影響が懸念されている。

 都市インフラの破壊も深刻だ。震源に近い経済の拠点都市ジェネラル・サントス市では、空港や大型商業施設、ホテル、病院などが軒並み甚大な構造的ダメージを受けた。
同市内の民間および公共インフラの初期被害総額だけでも約10億ペソ(約27億円)に上ると試算されている。

 科学的な観点からも前例のない劇的な変化が報告されている。PHIVOLCSの現地調査によると、サランガニ州グランなどの沿岸部において、地震の強力なエネルギーにより海底および沿岸の地盤が最大で約2メートルも垂直に隆起したことが確認された。かつて海面下にあったサンゴ礁のプラットフォームが一瞬にして数ヘクタールにわたり干上がり、むき出しの陸地へと姿を変えた。この急激な海底変動に伴い、沿岸部には最高2.5メートルの津波が押し寄せ、多くの沿岸家屋が押し流される二次被害が出た。

 発生から1週間が経った現在も、現地では住民の苦難が続いている。これまでに6000回を超える余震が断続的に発生しており、家屋の倒壊を恐れる住民の精神的な疲労は限界に達している。DSWDの集計によると、現在も約5万4000人以上が親族の家や簡易シェルターに身を寄せ、約9400人が避難所で生活している。水道管の破裂や停電による安全な飲料水の不足など衛生環境の悪化が深刻化しているほか、地盤が緩んでいる中での局地的な大雨による土砂崩れの危険性も高まっており、当局は警戒を呼びかけている。政府や民間による物資配給が進むものの、道路寸断で孤立した地域もあり、復興には数か月から数年を要する見通しだ。
【編集:Eula 】
編集部おすすめ