米食品大手ゼネラル・ミルズは2026年6月、中国本土における高級アイスクリームブランド「ハーゲンダッツ」の全店舗事業を、現地の新興レモン茶チェーン「檸季(ニングジー)」など投資家グループに売却することで最終合意した。買収側は店舗展開とギフト事業に関するブランド独占使用ライセンスを取得する。
一方、ゼネラル・ミルズは小売店や外食産業向けの製品供給事業を引き続き自社で保有・運営する。取引は2026年中に完了予定で、売却額は非公表。かつて中国で高級アイスの代名詞だった外資系ブランドが、地場企業の猛追と消費者変化に直面し、従来モデルの抜本的見直しを迫られている現状を浮き彫りにした。

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 米メディアによれば、この動きは同社が進めるポートフォリオ最適化戦略の一環である。ゼネラル・ミルズは2018会計年度以降、ブランドの買収・売却を通じて純売上高ベースで全体の約3分の1に相当する事業を入れ替えてきた。店舗事業の切り離しは、運営コスト負担の大きい分野を整理し、製品製造や流通網供給といった強みに経営資源を集中させる狙いがある。金融アナリストは、多国籍企業が不確実性の高い海外市場で資産を圧縮し効率性を高める「ライトアセット戦略」の典型例と分析する。中国市場では景気減速に伴い消費者が価格に敏感となり、プレミアムを上乗せした外資系ブランドの直営が裏目に出る事例が増えているとの指摘もある。

 類似の事例として、米スターバックスは2025年11月、中国事業株式の最大60%を現地プライベートエクイティに売却し、約40億ドル規模の合弁会社設立で合意。米バーガーキングの親会社も2026年2月、中国投資会社CPEに現地事業の運営権を譲渡し、CPEが合弁会社株式の約83%を取得した。2017年に中国事業の過半数株式を現地投資家へ売却し、意思決定の迅速化で店舗網を拡大したマクドナルドの成功例が、多国籍企業の標準戦略モデルとなっている。外資が現地企業へ経営権を委ねる動きは加速している。


 中国メディアや現地アナリストは、ハーゲンダッツが中国市場で辿った栄枯盛衰を伝える。1990年代参入以来、都市部若者にとって「洗練された社交」や「高級贈答品」の象徴だった。中秋節の「月餅アイス」ギフト券は重宝されたが、近年急速に行き詰まった。調査によれば、中国本土店舗数は全盛期の約600店から現在は約200店に激減。独立系消費アナリストは「十分な製品価値や若者文化との関連性を提供できなかった」と指摘。高級感頼みで刷新や価格柔軟性に欠け、実利志向の消費者変化に取り残されたとの見方だ。

 顧客を奪ったのは急成長する国内ティードリンクチェーンである。買収側の中核「檸季」は2021年創業のレモン茶チェーンで、バイトダンスなどから巨額資金を調達し、わずか数年で3000店超を展開。季節ごとの新商品を数週間単位で投入する開発力、スマホミニプログラムを活用したデジタルマーケティング、独自デリバリー体制を確立。近年はアイスやデザート分野にも参入し、低~中価格帯市場を席巻している。

 中国メディアによれば、檸季は複数ブランドを傘下に収め総合外食管理グループを構築する長期戦略を描く。創業者は既存ブランドに自社の運営ノウハウやサプライチェーン、デジタル力を注入し再生させる意向を示していた。
今回の売却は外資が中国から完全撤退する意味ではない。ブランド所有権を維持し流通基盤を確保しつつ、リスクの高い店舗運営を現地プロに委ねる防衛策である。激変する中国消費環境を生き抜くには直営への固執を捨て、現地のスピード感に適応したパートナーシップが不可欠であることを、この大型取引は示している。
【編集:af】
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