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同法において最も注視すべきは、第6章第63条の規定である。この条文は、中国国内のみならず海外における言動をも処罰の対象としている。すなわち、国籍を問わず、海外で中国の民族団結を妨げるとみなされる発言や行動をとった場合、中国の司法当局によって罪に問われる可能性が生じたのである。現代の高度なAI技術や監視網を考慮すれば、海外での言論は容易に中国当局に把握される。日本を含む外国人が、自国での何気ない発言を理由に、中国へ渡航した際に突然拘束されるリスクが格段に高まったと言わざるを得ず、個人の厳格なリスク管理がこれまで以上に求められる事態となっている。
専門家によれば、この法律の最大の狙いは「台湾独立」を主張する勢力への強烈な威圧である。習近平国家主席は7月1日の記念演説においても、台湾統一を共産党の「歴史的任務」であると改めて強調した。新法は、この歴史的任務を完遂するため、台湾独立派やそれに同調する海外の支援者に対し、法的な恫喝を加える強力な武器となる。
では、この法律の施行が直ちに台湾への武力侵攻、すなわちカウントダウンの始まりを意味するのだろうか。習政権の台湾統一に対する意欲がかつてなく高まっていることは事実だが、専門家は実際の軍事行動には依然として高いハードルがあると分析している。中国が直面しているのは、台湾単独の軍事力ではなく、その背後にいる日米の防衛力との対峙である。さらに、ウクライナ侵略で窮地に陥っているロシアのプーチン大統領の惨状が、習政権にとって重い教訓となっている。
さらに、軍事行動を躊躇させる決定的な出来事が最近の北京で発生している。最高指導部が居を構える中南海から直線距離でわずか6キロ離れた北京の超高層ビルに、小型機が衝突する事件が発生した。中国当局はこの事件の詳細を隠蔽しているが、首都のど真ん中で発生したこの事態に対し、軍も警察も効果的な迎撃や阻止行動を一切とれなかったという事実が浮かび上がった。仮に台湾海峡で有事が発生し、北京の中心部に無人機等の飛行部隊による報復攻撃がなされた場合、現在の中国の防空体制では大惨事を招かずに撃墜・阻止する手段がないという致命的な脆弱性が露呈したのである。こうした予期せぬリスクの発見が、軍事侵攻への一定の歯止めとして作用しているとみられる。
東アジアの安全保障環境は複雑さを増しており、日中関係にも改善の兆しは見えない。邦人の拘束事案が懸念される中、今後は反スパイ法に加えて、この新法が新たな脅威となり得る。「絶対に戦争は起きない」という根拠のない楽観論にすがるのではなく、平時から有事を想定した複数の代替案(プランA、B、C)を綿密に準備しておくことが不可欠である。それと同時に、韓国や台湾、東南アジアなどとの連携を深めながら、これまで関係改善を唱えてきた経済界や外交ルートを通じた現実的な危機回避の努力を積み重ねていくことが、今後の日本にとって極めて重要である。
【編集:af】








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