フィリピン政府は2026年7月8日、中東情勢の緊張による原油供給の不安定化を受け、国内航空燃料不足への対応策を協議した。国際指標であるシンガポール市場の燃料価格は乱高下を続けており、政府は航空路線維持と物価安定の両立という難しい舵取りを迫られている。
現地紙フィリピン・スター(Philstar.com)は同日、アジア太平洋地域の航空各社が依然として高止まりする燃料価格の圧力に直面していると報じた。

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 国際航空運送協会(IATA)の監視データによれば、7月3日までの週における航空燃料の平均価格は1バレル119.13ドル。6月初旬には146.25ドルまで急騰した経緯があり、足元では緩和の兆しが見えるものの、依然としてコロナ禍以前の水準を大きく上回っている。アジア太平洋航空会社協会(AAPA)のウォン・ホン事務局長は「地政学的リスクや貿易政策の転換、広範な経済的逆風による不確実性が続いている」と警鐘を鳴らし、特にホルムズ海峡経由の石油供給の不透明さが航空会社の運営を圧迫している現状を指摘した。

 国内ではフラッグキャリアのフィリピン航空(PAL)が当面の燃料確保を公表したものの、供給の不透明感から運航計画の再編を余儀なくされている。リチャード・ナッタル社長は、一部諸国で導入されている「燃料配給制」の可能性に言及し、到着地で給油せず往復分を積載して飛行する義務付けの必要性を示唆した。

 エネルギー省(DOE)は7月8日時点の国内燃料在庫について、全体で46.50日分を確保し直近週から改善したと説明。航空燃料(ジェット燃料)は84.93日分の在庫があると報告した。ただし、アレッサンドロ・セールス次官は「原油価格は戦前水準に戻りつつあるが、精製コストや物流費は依然高止まりしている」と述べ、輸入依存構造の脆弱性を強調した。

 こうした情勢を受け、政府は航空各社と連携し、燃料効率的利用と安価な供給ルート確保に向けた協議を加速。民間航空委員会(CAB)は7月上旬から燃油サーチャージ引き下げ方針を示し、消費者負担軽減を図る姿勢を見せる一方、業界からは「市場のボラティリティが激しく、価格予測は困難」との声が根強い。

 フィリピンでは2026年3月に大統領令110号が署名され、国家エネルギー非常事態が宣言されるなど燃料供給危機が深刻化していた。
現在は中東情勢の小康状態により最悪の事態は回避されているが、島嶼国家にとって航空・海運物流の維持は生命線である。今回の協議は供給遮断に備え、官民が連携して在庫管理と調達戦略を再構築する重要な一歩となる。

 業界関係者は「中東紛争が終結してもサプライチェーン正常化には時間を要する」との見方を示し、政府には国際市況の変化に即応できる柔軟なエネルギー政策が今後も求められている。
【編集:Eula】
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