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ブルームバーグやロイター通信の報道を総合すると、標的となったのはサウジ原油を運搬していた「エンセリア号」と「レイラ号」の2隻である。フーシ派はミサイルと無人攻撃機を使用したと主張。サウジ国営通信(SPA)によれば、エンセリア号はジザン港近海で直撃を受け船首部に火災が発生した。英海軍管轄の海運貿易統合情報センターも、紅海沿岸アルシュカイク南西約130キロの海域で飛翔体が命中したとの報告を確認している。乗組員の死傷は現時点で報告されていないが、イランのプレスTVは、フーシ派がサウジによるイエメン経済封鎖への報復と正当化していると伝えた。
ウォール・ストリート・ジャーナルは分析で、ホルムズ海峡が事実上停止状態にある現在、紅海は世界のエネルギー供給を支える「最後の命綱」となっていたと指摘。サウジは国内パイプラインを通じ紅海側港へ原油を送り、そこから輸出する戦略を採っていた。しかし紅海南端の要衝バブ・エル・マンデブ海峡を実効支配するフーシ派が攻撃に踏み切ったことで、この代替ルートも安全性を失った。ニューヨーク・タイムズの取材に応じた専門家は、イランが背後で支援することで米軍戦力を分散させ、地域を混乱させる狙いがあると指摘している。
海運業界にはすでに大きな動揺が走り、複数の国際海運会社が紅海ルートの利用を見合わせている。CNNによれば、多数の大型タンカーがバブ・エル・マンデブ海峡通過を断念し、喜望峰迂回へと切り替えた。この迂回は航行日数の増加と燃料費高騰を招き、世界的な消費者物価上昇に直結する恐れが高い。さらに米軍はイラン国内への空爆を12日連続で実施しており、紅海での船舶警護を担う多国籍部隊の負担も限界に近づいている。外交交渉の糸口は見えず、紅海が激戦地化すれば物流危機の長期化は避けられない。
こうした情勢悪化と供給網寸断への懸念は国際エネルギー市場に即座に波及した。CNBCによれば、事件直後から北海ブレント原油先物は急騰し、前日比約7%上昇して1バレル100.69ドルを記録。今年5月以来の100ドル突破となった。WTI原油先物も急伸し92ドル台に達した。二つの重要海上輸送拠点が同時に機能不全に陥る最悪シナリオが現実化しつつあるとの警戒感が市場関係者の間で急速に強まり、軍事衝突の行方次第では原油価格がさらに歴史的高値へ跳ね上がる危険性が指摘されている。
《捕捉説明》 喜望峰(Cape of Good Hope)はアフリカ大陸の最南端近く、南アフリカ共和国の西ケープ州に位置します。地理的には大西洋とインド洋の境界にあたる地点で、南緯約34度、東経約18度付近です。
紅海からこの喜望峰を迂回するルートは、スエズ運河やバブ・エル・マンデブ海峡を避けてアフリカ大陸を南下し、喜望峰を回って西へ進み、大西洋経由でヨーロッパやアメリカへ向かう長距離航路になります。通常より航行距離が約6,000~7,000キロメートル増えるため、燃料費・日数ともに大幅な負担増となるのが特徴です。
この迂回ルートは、紅海やホルムズ海峡が戦域化した際に、国際海運が採る「最後の安全航路」として知られています。
【編集:af】








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