これまでにも様々な情報が公開されてきましたが、「結局どんな手触りのゲームなのか」「ホラー要素と生活シミュレーションはどの程度両立しているのか」といった、作品の核心に触れる部分が気になっている人も多いことでしょう。
そんな折、『ほの暮しの庭』の試遊会に参加することができ、本作の特徴や魅力を実際に味わってきました。また、開発陣へのインタビューを通じて、作品のコンセプトや広報戦略についても話を伺っています。話題作の発売に向け、プレイ体験と開発秘話を併せてご覧ください。
なお、試遊時間に限りがあったため、ゲーム進行度の異なる複数のセーブデータが用意されていました。そのため、最序盤では開放されていない要素にも触れているほか、各要素への言及は今回プレイした範囲内のものとなります。また、今回プレイしたのはスイッチ2版です。
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■畑仕事から始まる、想像以上に本格的な田舎暮らし
『ほの暮しの庭』のジャンルは「生活シミュレーション」です。そして実際に遊んでみると、その肩書きに相応しいゲーム性が設けられていました。
ゲームの導入では、まず畑を作るためのチュートリアルから始まります。プレイヤーはオノやツルハシ、クワといった農具を手渡され、木を伐採し、岩を砕き、土を耕していきます。
対象に応じて農具を使い分けながら作業を進めると、小規模ながら立派な畑が完成。
操作性も分かりやすくまとまっており、ZRボタンを押すと農具選択用のサークルメニューが表示され、使いたい道具を選んだ後、Yボタンで使用します。
また、Lボタンと左スティックで平行移動が可能で、向きを変えずに作業できます。畑を耕したり、水やりをしたりといった場面では特に便利で、プレイ時間が長くなるほどありがたみを実感できそうです。
ちなみに、作中ではリアルタイムで時間が進行します。体感による計測なのでおおまかな目安程度ですが、現実世界で13~14秒ほど経過すると、ゲーム内では時間が15分経過します。
のんびりしていても時間が過ぎていくため、「今日は農業に集中する」「今は村を歩き回るか」といった形で、一日の過ごし方をある程度考える必要があります。
とはいえ、今回遊んだ範囲では、時間に追われるような窮屈さは感じませんでした。効率重視で行動することもできますし、景色を眺めながらのんびり散歩することもできます。生活シミュレーションとしての自由度と気軽さのバランスは、かなり丁寧に作り込まれている印象を受けました。
■農業だけじゃない。生活シミュレーション部分の充実ぶりに驚かされる
『ほの暮しの庭』はホラーゲームとしての側面を語られることが多い作品ですが、実際に触れてみて驚いたのは、生活シミュレーション部分の作り込みでした。
農業だけでなく、家具や壁紙、床材などを作るDIY、新たな建物の建築、牛・豚・鶏などの飼育、リキュールや出汁を作る醸造、山中での狩猟、川での釣り、さらには釣った魚を管理する生け簀まで用意されています。
農業についても、畑だけに留まらず、田んぼを作って稲作を行うこともできました。また、アヒルや羊の飼育も可能のようです。『ほの暮しの庭』は、一般的な同ジャンル作品と比べても決して見劣りせず、むしろ充実した内容になっていると感じました。
もちろん、村人との交流要素も用意されています。住民との関係を深めれば好感度が上昇し、様々なイベントも発生します。生活シミュレーションの醍醐味である「村の人々との暮らし」もしっかり楽しめそうです。
また、こうした要素を支えるシステム面も充実しています。特に便利だったのが「メモ機能」です。欲しいアイテムや建築計画などをプレイヤー自身でリスト化できるため、「何をしようとしていたのか忘れてしまった」という状況を未然に防げます。やれることが多いゲームだからこそ、この機能のありがたみは大きいでしょう。
そして、本作にはスキルツリーが用意されており、手に入れたスキルが日々の生活を助けてくれます。
さらに主人公の見た目も変更可能なので、生活スタイルのみならず、自分らしい主人公像も作り上げられます。『ほの暮しの庭』で過ごす日々を、より自分好みの形で楽しめそうです。
■夜になると一変する空気。『夜廻』チームらしい恐怖も健在
平和な日常だけを楽しみたい人向けに、『ほの暮しの庭』では「あんしん暮しモード」が用意されています。一方で、本作ならではのホラー要素も体験したいなら、「ほの暮しモード」を選ぶことになります。
このモードでも、昼間は比較的穏やかです。村人との間で意見がぶつかったり、不穏さが漂う展開を迎えることはありますが、基本的には人間同士の関係性の範囲に収まっています。
しかし、夜になると状況は一変。『ほの暮しの庭』における直接的なホラー要素は、深夜の外出によって本格化します。村の掟を破って夜中に外へ出ると、懐中電灯の光に照らされた怪しげな“影”のような存在と遭遇。
そこにただ漂っているだけのモノもいれば、執拗にこちらを追い回してくるモノも存在します。主人公はか弱い少女なので、こちらにできることは逃げることだけ。『夜廻』シリーズで培われた「追われる恐怖」は、本作にもしっかりと受け継がれていました。
しかも登場するモノは、探索を続けるたびに新たな存在と遭遇することが多く、それぞれ見た目も行動パターンも違っています。そのため、外出するたびに「次は何が出てくるのだろう」という緊張感が常にありました。
ゲームだからと開き直って近づいてみると、こちらに気づいていないのか、のんびり移動しているモノもいます。しかし、油断して後を追っていると、別のモノに見つかって慌てて逃げ回る羽目になることもありました。恐怖と好奇心のバランスが絶妙です。
ちなみに、深夜の探索中もゲーム内時間はリアルタイムで進み続けます。そのため、昼間と同じように目的を持って行動した方が良さそうです。
なお、モノに追いつかれてしまうと主人公は気絶し、その日の探索は終了となります。
また、怪異から逃げ切った場合でも、AM6時頃になると主人公は眠気に耐えられなくなり、自動的に探索は終了。襲われるにせよ、逃げ切るにせよ、夜の行動には限界があるため、怖さに負けずしっかりと探索したいものです。
こちらは余談ですが、夜中でも釣りは可能でした。実際に魚が釣れるところまでは確認できませんでしたが、「夜の川で何が釣れるのだろう」と考えるだけでも、妙な怖さがあります。
■恐ろしいのは「夜」だけではなく……
夜にしか見つからないアイテムなどもあるため、物語を追う上で深夜探索は避けて通れない要素になりそうです。しかし、夜の探索は確かに怖いのですが、本作の不気味さは夜中だけでなく、昼の日常にも潜んでいました。
村には「掟を守らせようとする側」と、「村の秘密に踏み込もうとする側」が存在しているようで、それぞれがぶつかることもあります。住民同士でも意見が分かれている「村の掟」の先に、一体何があるのでしょうか。
夜に現れるモノは、確かに恐ろしい存在です。しかし、住人が頑なに守ろうとしている「村の掟」の方が、むしろ恐ろしいのではないか――そんな予感も抱かせます。
昼は穏やかで、夜は恐ろしい。
■生活シミュレーションもホラーも、本気で作られている
『夜廻』チームによる新作ということで、夜の探索には大きな期待を寄せていましたが、その部分は期待通りの仕上がりでした。追われる恐怖はもちろん、「何かがおかしい」という不穏な気配が常に漂っており、和風ホラーらしい“目に見えない怖さ”も十分に味わえます。
一方で、今回の試遊で改めて驚かされたのは、生活シミュレーション部分の作り込みです。農業や畜産、建築、DIY、狩猟、釣り、交流といった多彩な要素に加え、それらを支える便利なシステムまで整備されており、「村で暮らす毎日」を自分のペースで楽しめる作品になっていました。
穏やかな日常と、恐ろしい夜。そして、その狭間に潜む数々の謎。『ほの暮しの庭』は、ホラーゲームとしても生活シミュレーションとしても成立させようとする、意欲的な作品だと実感しました。製品版ではどのような物語が待っているのか、期待がますます膨らみます。
試遊プレイのレポートは以上となりますが、本作の魅力や制作の裏側について、企画・ゲームデザインを担当した溝上侑氏と、開発責任者の勝又美桜氏に詳しい話を伺いました。そのインタビューの一部始終も、併せてご覧ください。
■本当はホラー要素があった!『ほの暮しの庭』開発者インタビュー
──本日は、お忙しいところありがとうございます。そして早速ですが……『ほの暮しの庭』にホラー要素があるじゃないですか! TGSのインタビューでは、「明るくて楽しいゲームです!」と仰っていたのに……(笑)。
溝上侑氏(以下、溝上氏):「明るくて楽しいゲーム」なのは嘘ではないんですよ(笑)。「あんしん暮し」モードで、明るくて楽しいだけのゲームとしても遊べますから。
ただ、ホラー要素を隠していたのは事実です。実は、本作は「ツッコミ待ち」が最初の広報方針だったんですよ。
──なるほど、そういう事情でしたか。とは言え、ユーザーさんの9割は完全に疑ってかかっていましたね。
溝上氏:当時、何を言っても信用されませんでしたね。ちょっと胡散臭すぎたかもしれません(笑)。
──では、『ほの暮しの庭』は、企画段階からホラー要素もありきで立ち上がった、という認識でよろしいのでしょうか。
溝上氏:そうですね。基本的には、『夜廻』に生活シミュレーションが加わっているというコンセプトでしたので、ホラー要素も最初からその予定でした。
──それでも、敢えて当初はホラー要素を隠したというのは、例えばホラーが苦手な人たちにも知ってほしくて、みたいな何らかの意図があったためでしょうか?
溝上氏:最初隠していたのは、ユーザーの皆様を信用していたからなんですよ。我々が作ったものに対して、「絶対に何かあるだろう」と思ってくれるだろうと。
なので、絵柄やクォータービューの画面構成も、わざと『夜廻』に寄せました。その上で「生活シミュレーション」という部分を押し出したら、こちらが期待する反応を見せてくれるに違いない、って。
──ユーザーさんへの信頼があった上での広報展開だったんですね。
勝又美桜氏(以下、勝又氏):狙いとしてはまさにその通りですし、期待以上の反応をいただけました。本当にありがたいばかりです。加えて、先ほど仰られたように、ファームゲームが好きな人にもリーチしていきたい、という気持ちもありました。
最初からホラー要素を全面に出してしまうと、「ちょっと私向けじゃないかな」と感じて、情報を追うのをやめてしまう方もいると思います。私自身がファームゲームユーザーなので、その気持ちも分かります。
ただ、これもなかなか信じてもらえていないのですが、『ほの暮しの庭』のゲームプレイ時間の8割は、ファームゲームなのですよ。ファームゲーム単体として楽しめる「あんしん暮しモード」もありますし、これだけで十分楽しめるゲームになっています。
「ファームゲームが好きな方や、ホラーが苦手な方にもぜひ手に取ってほしい」という想いもあって、最初の頃はホラー要素を隠し気味にしていました。
──より広いユーザー層を意識した情報発信だったわけですね。
勝又氏:そうですね。『夜廻』が好きな人には、敢えて言わなくても伝わると確信していましたし。
──ユーザーさんへの絶大な信頼感が(笑)。
勝又氏:はい(笑)。それから、ホラー要素についても公開し始めたのですが、最近ちょっと出しすぎてしまったかなと感じています。
溝上氏:みんなが喜んでくれるからね。
勝又氏:それで、つい調子に乗ってしまって。そのため、そろそろ「ちゃんとファームゲームとしてアピールしないといけない」というターンに入ってきたという感じです。
──それでは、まずファーム関連のお話を聞かせてください。ゲームの進行についてですが、例えば「この作物を育てるとシナリオが進行する」といった、いわゆるフラグ的なトリガーがファーム要素に絡んでいるのでしょうか。
勝又氏:いわゆるお使い的な「これ持ってきてほしいな」みたいなものはありますが、基本的にファームゲーム部分は独立しており、物語の先を見たい人はシナリオを中心に進められるような感じになっています。
ファームゲームの進行度が達してないとシナリオが進行しないというのは、基本的にはほとんどありません。
溝上氏:こうした調整は、敢えて狙っている部分もありまして。本作をプレイされる方は、ファームゲームをやりたい人と、『夜廻』をやりたい人に分かれると考えています。
そのため、「どちらのプレイヤーも、自分のペースで進められるように」という作りにしました。どこかでストップがかかるかもしれませんが、両方に触れつつも、自分が遊びたい要素を重視して楽しめると思います。
──では、ホラー要素とファームゲームのプレイ割合を、プレイヤー自身がある程度決められるという感じですか? 5:5で楽しむもよし、3:7にするもよし、みたいに。
溝上氏:全然できますね。メインシナリオにはやっぱりホラー要素がありますが、スキルツリーやアイテムなど、ホラー要素を回避しやすい手段も用意しています。詳しくは遊んでいただいた時に分かると思いますが、できるだけ避けて通ることも可能な作りになっています。
──では、ホラーが完全にダメという人は「あんしん暮しモード」で、苦手だけど試してみたい方は自分で配分を調整しつつ、がっつり味わいたいという人は肩までどっぷり浸かれるという感じですか。
溝上氏:そうですね。本当に懐が広いように作っていますので、楽しみにしてください。
──ちなみに、怖い要素がまったくない「あんしん暮しモード」で遊んだ場合、ストーリーやエンディングに変化はありますか?
勝又氏:「あんしん暮しモード」は「掟を守るモード」になります。掟を守っていれば、この村ではずっと安全に暮らせるので、つまりエンディングはありません。
──なるほど。
勝又氏:エンドレス農業モードみたいなものですね。最初だけ本編と同じようなシナリオ──いわゆるチュートリアルであったりとか、村人の紹介であったりとか──がちょっと入りまして、あとはエンディングなどなく、エンドレスでファームゲームを楽しめます。
──一般的なスローライフゲームで終わりなく遊ぶ、というのと同じ感覚で遊べるわけですね、「あんしん暮しモード」は。
勝又氏:そうですね。
溝上氏:ちなみに、「ほの暮しモード」にはエンディングがありますが、急にゲームが終わってしまうような形ではありません。「ほの暮しモード」も、クリア後はファームゲームとしてエンドレスに遊べるのでご安心ください。
勝又氏:「あんしん暮しモード」は農業により集中して遊べるモードで、「ほの暮しモード」は全部盛りで遊べるモード、という感じですね。
──『ほの暮しの庭』がファームゲームとしてもしっかり遊べることが、今回のインタビューを通して把握したユーザーさんも多いと思います。続いて、ホラー要素についても教えてください。本作には、どのようなホラー体験が待っていますか?
溝上氏:お化け的な驚かしについては、『夜廻』とほぼほぼ変わらずですね。深夜に村の中を歩くことができ、この時に恐ろしいものたちも徘徊しています。
この点は『夜廻』と近い作りになっていますが、今回はお化けが毎晩違うコンセプトで出てきます。場所は同じ村ですが、違うお化けが出てくるので、そういったところも楽しみにしていただければと思います。
あとは、やはりシナリオ面ですね。まだ詳しくは明かせませんが、『夜廻』ファンはもちろん、ファームユーザーにも受け入れてもらえるような塩梅で作っています。
勝又氏:ちなみに、溝上がシナリオを書いています。私も実際にプレイしたところ、非常に面白く仕上がっていると感じました。
村人たちの様子であったり、時折にじみ出る違和感であったりとか、普通のほのぼのしたファームゲームでは味わえない「疑心暗鬼」みたいな部分が、独特のプレイ感に繋がっていると思います。
溝上氏:不穏さ、みたいなね。ゲーム自体のコンセプトも「不穏」を意識しました。
直接的な「ホラーです!」という感じではなく、不穏という表現がまさに合うような雰囲気になっています。「バッと出てきて怖い!」みたいな感じではなく、不穏、もしくは不安体験とでも言うような。
──先ほどプレイさせていただいたので、非常に良く分かります。
勝又氏:違和感や不穏さがしっかり味わえるシナリオになっており、社内でも評判がとても良くて。続きが気になるタイプのシナリオなので、これはぜひ直接味わってほしいですね。
溝上氏:もしよければ、ホラーが苦手な人にもね。
──本作には、日常のすぐ隣に異質な存在がいるという、「正体不明の怖さ」がありますよね。
溝上氏:そうですね。生活シミュレーションという日常の中に異質な存在がいて、時折その片鱗が顔を出します。ゲーム体験でいうと、緊張と緩和が明確に分かれてるゲームですね。
基本的には生活シミュレーションなので、その日常を楽しみつつ過ごしますが、忘れた頃に冷や水を浴びせてくるみたいな。
勝又氏:生活シミュレーションなんですけど、「あ、そうだ! 私が住んでいたのは、なんかよくわからない田舎だった!」みたいに、ゲーム側がちょこちょこ思い出させてくる感じです。
溝上氏:思い出させるっていうのは、本作の特徴かなと思います。絶妙な緊張と緩和が、全体に的確に散りばめられているゲームです。
──不穏さの一因を担っているのは、やはり「村の掟」だと思います。この掟は、本作において重要な鍵を握る要素でしょうか。
溝上氏:掟については、プレイして実際に触れてもらうのが一番なので、言及は避けておきます。ただ、この彼ヶ津村に昔から伝わっているものなので、やっぱりただの掟ではありませんよね。
勝又氏:ちゃんと目的があり、きちんと守る意味のある掟です。
──「村の掟」の先にどんな物語が待っているのか、製品版を楽しみにしています。
溝上氏:ぜひお待ちください。
勝又氏:よろしくお願いいたします。
──あと最後に、これだけは言わせてください。以前、『ほの暮し』公式Xで「犬と猫は死なない」と告知して、話題になりましたよね。
溝上氏:はい、おかげさまで多くの人にご注目いただけました。
──今回、本作の一部を遊ばせていただきましたが……ヤギが、死んでますよね! 間違いなく!
溝上氏:あれは仕方ありませんよね。ですが、犬と猫は死んでいません。何も嘘はついておりませんよ?(にっこり)
──確かに、嘘ではありませんが……!
勝又氏:あのヤギは、プレイヤーにとって損なヤギではありませんから(ふふっ)。
──今はただ、製品版でこれ以上の悲劇が起こらないことを祈るばかりです……本日はありがとうございました!
ニンテンドースイッチ/スイッチ2/PS5/Steam/Windowsソフト『ほの暮しの庭』は、2026年7月30日発売予定。価格は、スイッチNSW版のみ7,920円(税込)、ほかは全て9,020円(税込)です。
(C)2026 Nippon Ichi Software, Inc.


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