しかし、90年代に入ってゲーム機も進化し、プレイステーションやセガサターンで3Dを用いたゲームタイトルが増加。3Dシューティングも、徐々に存在感を増していきます。
そんな90年代に訪れた変化の先駆けとなったのが、1993年発売の『スターフォックス』です。特殊チップの搭載によってスーパーファミコンで3Dシューティングを実現し、このジャンルの知名度を押し上げる一助となりました。
30年以上も前に登場した3Dシューティングシリーズは、この2026年に最新作をリリースします。約10年の沈黙を打ち破るシリーズ最新作は、シリーズ名をそのまま背負う『Star Fox(スターフォックス)』というタイトルで登場します。
念願のシリーズ展開ながら、10年という空白期間の長さもあり、期待と不安が入り混じる人も多いはず。果たして『Star Fox』は、シリーズファンと新規ユーザーにそれぞれ受け入れてもらえる作品となるのでしょうか。
全ては蓋を開けてみるまで分かりませんが、現在公開中の体験版を通して、いちファンの視点から“期待と不安”と向き合ってみました。
■10年の沈黙を破る『スターフォックス』の復活
この令和に復活した人気シリーズはいくつもありますが、その出来映えや評価はタイトルによって様々です。特に完全新作の場合は、当時の持ち味を上手く活かすのが難しい場合もあります。
その点、今回リリースされる『Star Fox』は完全新作ではなく、1997年に登場した『スターフォックス64』をベースにしたリメイク作です。
完全新作ではないものの、シリーズでも屈指の名作をベースとしているため、手の入れ方を間違えなければ、持ち味を大きく損なう恐れは少なそうです。10年越しのシリーズ再始動としては、悪くない展開といえそうです。
その分、「大きな驚きはあるのか」という懸念や、「名作をベースにすることで、合格点の基準が自ずと上がりそう」といった不安もあります。また、グラフィックの進化に伴い、没入感を損なう可能性も否定できません。
特に、主人公の「フォックス」をはじめ、キャラクターデザインの大きな変化は、発表当時から大きな話題になりました。過去作と比べるとリアル寄りになっており、体毛の判別までつくほどです。
キャラデザも含め、様々な進化と変化を遂げた『Star Fox』は、どのような作品に仕上がっているのか。先駆けとなる『Star Fox』体験版で、その一部に触れてみました。
■「チームの存在感」もチュートリアル
あくまで体験版に触れた範囲の話となりますが、オリジナルの『スターフォックス64』と比べると、今回の『Star Fox』は様々な点で変わっていました。この変化をどう受け止めるかはファンごとに異なるかと思いますが、筆者個人は全体的に好ましく受け止めています。
体験版を開始すると、遊撃隊「スターフォックス」の初代リーダー「ジェームズ」の時代から始まり、彼らの窮地が描かれた後、フォックスがリーダーを務める時代に移ります。(詳細については、ネタバレを極力避けるため伏せておきます)
ここで、近年のゲームではすっかり恒例となったチュートリアルが始まりました。
そのため、チュートリアルなら自機のみ登場すれば問題ないところ、『Star Fox』のチュートリアルでは、チームメンバーの「ファルコ」「ペッピー」「スリッピー」もそれぞれ機体に乗って登場し、共にチュートリアルステージを駆け抜けます。
基本操作を学ぶだけなら、仲間がいる必要はありません。しかし、様々な操作を学んでいる間、仲間の機体が横切ったり、ライバル心の強いファルコがフォックスを煽るといったシーンも挿入されます。
こうした肉付けは、一見不要のように見えるかもしれません。しかし、これは『Star Fox』のチュートリアルであると同時に、「スターフォックス」チームのチュートリアルなのだと気づきました。
ファルコは、何かあるたびにフォックスにつっかかり、戦闘中も積極的に競い合ってきます。初代チームにもいたペッピーは、その経験から的確なアドバイスを送りますが、立場ゆえに小言も多め。そしてスリッピーは、腕前はまだ未熟なものの、場の雰囲気を明るくしてくれる名メカニックです。
刻一刻と変化する戦局に合わせ、チームメンバーとことあるたびに通信を交わす。そのやりとりは、戦闘を助けるものもあれば、物語を肉付けするエッセンスにもなります。そうした『スターフォックス』シリーズに欠かせない要素だからこそ、チュートリアルにも盛り込まれたのでしょう。
「スターフォックス」チームのチュートリアルを体験したことで、往年のファンは当時の気持ちに戻りやすくなりますし、新規ユーザーの人は「チームで挑む3Dシューティング」という認識を持つことができます。令和に生まれ変わった『スターフォックス64』として、極上の立ち上がりだと感じました。
■「メテオ」が見せた圧巻の宇宙空間
チュートリアルで気分が良くなったところで、早速ステージに向います。体験版でプレイできるのは、ステージ1の「コーネリア」……ではなく、ステージ2の「メテオ」。てっきり「コーネリア」だと思い込んでいたので、ちょっと意表を突かれました。
しかし実際にステージが始まると、そんな疑問はすぐに忘れ去ってしまいます。進化した『Star Fox』の迫力に、目も頭も奪われてしまったためです。
個人の感じ方なので大げさな表現だと思われるかもしれませんが、“宇宙空間を描いたSTGゲームとして”の迫力が素晴らしく、序盤から迫りくる岩石群の圧倒的な質量感に、思わず息を呑んだほどです。
ゲーム的な「あるある」で言えば、レースゲームでコーナーを曲がる時、身体も傾いてしまう……という話をよく聞きますが、この「メテオ」ステージの岩石群では、横切る際に思わず身体ごと避けてしまいました。
こうした臨場感に負けていないのが、自機「アーウィン」のシャープなデザインです。おおよその形状は過去作のものを踏襲し、シルエットに大きな変化はありません。しかし、ブラッシュアップされたアーウィンは、“SFシューティングとして”の戦闘機として、存在感と格好良さをきわめて高いレベルで両立させています。
迫力満点の宇宙空間を、スタイリッシュな戦闘機で駆け抜ける。この没入感を味わえただけでも、令和に『スターフォックス』が蘇って良かったと実感させられます。
■ステージ2を体験版に採用した的確なチョイス
こうした臨場感はもちろんのこと、ゲームとしての手応えもかなり上々でした。
軽快なアーウィンの動き、敵の攻撃をはじくローリング、状況に応じて使い分けるチャージショットやブースト&ブレーキ、岩石に潜む敵機のサプライズ、軌跡を残すレーザーをかいくぐる局面など、操作性からシチュエーションまで一体となった体験が、“手応え”と“面白さ”を次々と提供してくれます。
また、ステージ構成は、オリジナル版の『スターフォックス64』を思い出させるものばかり。細かい確認まではしていませんが、原作のシチュエーションを丁寧に取り入れ、より刺激的なゲームプレイに落とし込んでいるように感じました。
臨場感のあるグラフィックへの興奮、馴染みのある展開への感慨深さ、メリハリの利いたステージ構成、良質な操作性と、様々な要因が相まって、“新しさと懐かしさ”の混然一体が、満足感のある体験を生み出します。
もちろん、チームメンバーとのやりとりも健在。窮地に陥る仲間を助けたり、ステージ最奥で待ち構えるボス戦ではヒントを教えてくれたりと、チーム戦ならではの実感も十分味わえました。
ちなみに、体験版でプレイできるステージが「メテオ」だったことに少々驚きましたが、これはおそらく、ゲーム中の行動によりルート分岐する要素をいち早く体験させたかったのだと思われます。
久々のプレイだったため、「メテオ」ステージの分岐をすっかり失念していましたが、本作では仲間たちがルート分岐のヒントを与えてくれたため、手こずることなく分岐先のステージも楽しめました。この遊び応えを味わわせるべく、「コーネリア」ではなく「メテオ」をチョイスしたのでしょう。
いい意味でベースは『スターフォックス64』なので、ステージ攻略の楽しさは盤石の完成度。期待を裏切ることなく、むしろ高めてくれる体験版でした。
■プレイして実感したたキャラデザの“納得感”
ゲームとしての体験は上々でしたが、SNSなどでも話題となった「リアル寄りのキャラデザ」についても、最後に触れさせていただきます。
実は、新たなキャラデザに関するアンケートを、以前実施しました。「変化には驚いたけど、これはこれでアリ(47.4%)」が最多数で、「今回のデザインも最高!期待度が上がった(27.6%)」と「前の方が好みだった(25%)」がほぼ横並び。どの回答も少数派というほど少なくはなく、意見が分かれる形になっていました。
感じ方は人それぞれですが、筆者も第一印象では、馴染めるかどうか不安もありました。しかし体験版のプレイ中では、キャラデザが特に気になったことはなく、没入感も妨げられていません。
単に慣れただけかもしれません。しかし、敢えて理由を考えるとすれば、「フォックスたちのデザインの変化」だけに注視したのではなく、作品全体として捉えた結果、馴染んでいたおかげとも言えそうです。
プレイ体験でまっさきに述べた通り、アーウィンの格好良さや「メテオ」ステージの没入感は、まさに圧巻でした。いずれも、SFシューティングゲームという枠の中で、リアルな迫真性を引き出しています。
キャラクターデザインの変化だけに注目すると戸惑うかもしれませんが、“アーウィンや宇宙をリアル寄りに描き、その先にいる人物たち”と捉えると、ひとつの正解だったと個人的に受け止めました。
もちろん異論もあるかと思いますが、「臨場感溢れる体験」を味わった身としては、その世界を構築する方向性も正しかったのだと、逆説的に納得するほかありません。
個人の実感に基づく部分が大きいため、万人に安心してもらえる材料とは言えませんが、共感できる説得力とパワーがあったのも確かです。
『スターフォックス64』の魅力を受け継ぐ安定感と、描画や表現を研ぎ澄ませた臨場感を兼ね備えた『Star Fox』。その全容は発売日になるまで分かりませんが、体験版のプレイを通して、不安は減り、期待が大きく増しました。まだ気になる人は、実際に体験版に触れてみるのもおすすめです。
ニンテンドースイッチ2ソフト『Star Fox』は、2026年6月25日発売予定。価格は、パッケージ版が6,480円(税込)、ダウンロード版が5,480円(税込)です。


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