「どのサイトが一番ポイント還元率が高いか」を比べてから寄附先を決める。ふるさと納税を、そんなふうに使ってきた人は少なくないはずです。
なぜ禁止されたのでしょうか。背景には、サイトごとのポイント競争が過熱し、寄附の目的が地域の応援よりも「ポイント集め」に傾いてきた現実があります。ふるさと納税は年々広がり、2024年度の受入額は約1兆2,728億円、件数は約5,879万件に達しました。その一方で、自治体が仲介サイトに支払う手数料は1,656億円と、寄附額のおよそ13%を占めています(総務省 ふるさと納税に関する現況調査、2025年7月31日公表)。この手数料を抑え、より多くを地域に役立ててもらうことが、見直しの狙いです。
ここで誤解しないでおきたいのは、変わったのは上乗せされていたポイントだけで、ふるさと納税の基本は今までどおりだという点です。
では、これからどう付き合えばよいのでしょうか。意識したい点が3つあります。1つ目は、自分の上限額を正しく知ることです。控除される金額の上限は、年収や家族構成で変わります。各サイトのシミュレーションで、おおよその目安を確かめておきましょう。
もうひとつ、気をつけたいことがあります。ポイントがあった頃の感覚のまま、上限を超えて寄附してしまうことです。控除には上限があり、それを超えた分は、税金から戻ってこず、まるまる自己負担になります。ポイントという見返りがなくなった今は、なおさら金額の管理が大切です。寄附のたびに、今年はいくらまで寄附したかを書き留めておくと、使いすぎを防げます。
なお、共働きの世帯であれば、夫婦それぞれの名義で寄附できることも覚えておくとよいでしょう。控除の上限は、一人ひとりの収入で決まります。そのため、二人分を合わせれば、世帯として活用できる枠は広がります。
ポイントというおまけが消えて、ふるさと納税は本来の姿に近づきました。お得度のランキングを追いかける必要がなくなった分、かえって落ち着いて選べるようになったとも言えます。寄附は年末に駆け込む人が多いものですが、上限額を調べるだけなら、夏のうちにでもできます。今年の収入の見通しが立つこの時期に、一度だけ自分の上限を確かめておく。それだけで、あわてずに、そして払いすぎずに、制度を使いこなせます。
(新井 一/起業コンサルタント)
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