近頃は退職代行サービスなども珍しくなくなり、自分で直接伝えにくいことを第三者に任せるケースも増えているようです。

ですが、どんなに気まずくても、中にはどう考えても本人が向き合うべき問題もありますよね。


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今回は、不倫が発覚した夫の代わりに、“別の人”が離婚の話をしにやってきたという驚きのエピソードをご紹介します。

たまたま早起きした日に

飲食店でパートとして働く安斎舞花さん(仮名・30歳)は、健人さん(仮名・32歳)と結婚して2年目になります。

「私は昔から低血圧気味で朝起きるのが苦手なのですが、健人は優しいので『舞花は寝ていていいよ。僕は自分でシリアル食べて出社するから。その代わりに夜は一緒に食べようね』と言ってくれて。そんなところに惹かれたんですよ」

そんな舞花さんは健人さんの言葉に甘えて、いつもベッドの中から「いってらっしゃ~い!」と声をかけるだけのお見送りをしていました。

「そしたらある日、なぜか朝4時頃に目が覚めてしまったんです。まぁ、たまにはそんなこともあるよねって感じでそのまま起きて、せっかくなので冷蔵庫にある野菜とウインナーでポトフ的なスープを作っていたんです。そのうち健人が起きてきたんですが、きちんと身支度をして料理をしている私を見て、かなり驚いていましたね」

忘れたお弁当を届けに行くと……

朝から温かいスープが食べられたことを喜ぶ健人さんでしたが「でも別に、これから無理して朝起きてって意味じゃないからね?」という言葉を添えてくれたそう。

「そのときは、私にプレッシャーを与えないようにしてくれて優しいなと思いました。そして『せっかくだからこのポトフ、スープジャーに入れてお弁当にする?』と聞いたら健人はとても喜んでくれて、私も嬉しくなりました」

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スープジャー 弁当 ランチ
ですが健人さんを会社に送り出した後、ふとテーブルを見たらお弁当が置きっぱなしになっていました。

「そもそもお弁当を持って行く習慣がないし、うっかり忘れていってしまったんだと思いました。いつもなら部屋着ですっぴんなのでそんなことはまずしませんが、今日はちゃんとしているし、健人を追いかけてこのお弁当を届けてあげようと思い、玄関を飛び出したんですよ」

舞花さんがマンションを出て駅方面に走ると、すぐに健人さんの後ろ姿を見つけることができたそう。

「よかったと思って呼び止めようとしたら、なぜか健人が横道に入っていってしまって、『え?』と思いました。
そっちは駅の方向じゃないし、どこに行く気なんだろうと不思議に思い、そのまま後をつけたんです」

不倫確定フラグ

すると健人さんは足取り軽く、あるマンションに入って行きました。

「健人が慣れた手つきでオートロックの入り口に鍵を差し込んでいるのを見て、頭をバットで殴られたような衝撃が走りました。これって不倫確定フラグじゃんと心の中で歯ぎしりをしながら入り口に滑り込み、我慢できずに『おい健人! 待てー!』と叫んでしまったんですよ」

振り返った健人さんは舞花さんと目が合うと、明らかに取り乱して「うわぁぁ!」と奇声を上げながら一階のいちばん奥の部屋まで走り、慌てた様子で中に入っていったそう。

「私に謝りもせず、言い訳もせずに逃げるってどういうこと? と、すごくバカにされた気持ちになり頭にきましたね」という舞花さん。その部屋のインターフォンを何度も鳴らしました。

「ですが無視されたので、ドアを叩いて『ちょっと! 出てきなさいよ』と叫んでみたのですがノーリアクション。しばらく粘りましたが虚しい気持ちになり、いったん自宅に戻ったんですよ」

不倫相手が訪ねてきて

そして健人さんに電話をかけたり、何度もLINEをしてみましたが既読にもならなかったそう。

「そうこうしていたらウチのインターフォンが鳴ったのでモニターで確認してみたら、見知らぬ女性が立っていて」

「どなた様ですか?」と尋ねると女性は「先ほど、健人さんが来た部屋の住人です」と答えました。舞花さんは玄関を開けることに。

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玄関
「その女性は、40代半ばぐらいだったと思います。白髪交じりの化粧っ気のない落ち着いた雰囲気で……とても不倫するようなタイプには思えませんでしたね」

その女性にいきなり「健人さんが離婚したいと言っているんですが、それでいいですか?」と言われて舞花さんは唖然としてしまったそう。

「頭の中で、『はぁ? そんな大事な話を他人に、しかも不倫相手に託すってどういうこと? そして今朝まであんなに仲良くしていたのに……あれは全部演技だったってこと? というかいつから不倫していたの?』と次から次へといろいろな思いが巡って、混乱してしまいました」

不倫相手が離婚代行?

その女性の堂々とした感じにも腹が立ち、舞花さんは「あなたうちの旦那と不倫しているんですよね? 自分が何やってるか分かってますか? 慰謝料請求しますから」とまくし立てます。それでも女性は表情ひとつ変えず、「かまいません」と冷静に返してきました。

そして、なぜこの話し合いの場に健人さんが来ないのかを尋ねると、「私の部屋のベッドに潜って、『ミスった……もう妻にも合わせる顔がないし離婚する!』と泣いていて。『どうにかしてきてよ!』と頼まれたので私が来ました」とのことで……。


「健人がそんな情けないことをするなんてと、信じられない思いでした。ですが、この女性の言うことを全て信じるのは危険だと思ったので、『とにかくあなたとではなく、健人と話し合いをしないことには結論は出せません』と言って、帰ってもらいました」

今度はお義母さんから電話が

その後も健人さんは音信不通で、もちろん家にも帰ってこず、2日が経ちました。

「そしたら今度はお義母さんから電話がかかってきたんです。『うちの子が迷惑かけて本当にすみません。申し訳ないんだけど離婚してもらえないかしら? 舞花さんの条件はなるべく飲むようにするので……』と本当に申し訳なさそうに頼まれてしまって。この様子だと、あの不倫相手の女性が言っていたことも多分本当なんだろうなと、諦めに近い気持ちになりましたね」

ですが舞花さんはすんなり離婚に応じるのは違うと感じ、「健人さん本人と話し合いをして、どうするか決めたいです」と粘ったそう。

「その後もお義母さんから何度も低姿勢な離婚のお願い電話がかかってきて心苦しいのですが、とにかく納得できなくて。ですが本心では、もう健人とやり直すなんて無理だろうと思っていて……いずれ離婚に応じると思います」とため息をつく舞花さんなのでした。

<文/鈴木詩子>

【鈴木詩子】
漫画家。『アックス』や奥様向け実話漫画誌を中心に活動中。好きなプロレスラーは棚橋弘至。著書『女ヒエラルキー底辺少女』(青林工藝舎)が映画化。
Twitter:@skippop
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