松本潤はどうしてあんなにカッコいいのだろう……? 彼が出演した数々の平成ドラマをリアルタイムで見ていた視聴者たちは、老若男女問わずもれなくみんな目がハートになった。

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 あれもこれも名作揃い。
2003年放送、20歳前夜の松潤がとびきりきらめいた『きみはペット』(TBS系)。最高視聴率27.6%を記録した「花より男子」シリーズ(2005~2008年)。そして忘れちゃいけない、2007年放送のスポ根料理ドラマ『バンビ~ノ!』(日本テレビ系)だ。

 本作には松本潤の魅力がぎゅっと閉じ込められている。TVerでの待望の配信を記念して、“イケメン研究家”加賀谷健が解説する。

平成真っ只中のお上りさんドラマ

20年前の松本潤が眩しすぎる!平成ドラマで再確認する、時代を超えた「圧倒的スター性」の正体
『バンビ〜ノ!』 ※Tverより
 テレビドラマは時代を映す鏡とよくいうが、2026年4月25日からTVerで配信が始まった『バンビ~ノ!』(日本テレビ系、2007年)を見ると、これが見事に当時の東京の様子を映し出している。まず第1話冒頭場面。場所は六本木だ。

 博多から上京した主人公・伴省吾(松本潤)が、駅出口から地上へ。後景にちらっと見えるだけで存在感を誇り、屹立する超高層ビル……。伴が一瞥して見上げたのは(当時)六本木の新たなシンボルになった六本木ヒルズだった。

 開業は2003年。平成真っ只中のお上りさんドラマにはうってつけの建物だった(その後の場面でもあらゆる画面の端に六本木ヒルズがちらちら)。


 大学が春休みの間だけヘルプスタッフとして働くことになった、イタリアンレストラン「バッカナーレ」を目指して、六本木交差点辺りを歩く。ガイドブック片手にうろうろしていたのは東京ミッドタウン前。

 本作放送と同年、しかも4月期放送前の3月に開業した、ほやほやのミッドタウンが極端なローアングルの画面上後景に映っていた。

架空の住所が示すものとは?

 放送から約20年経ち、今も六本木の街並みはそれほど変わっていないが、20年前当時のドラマ描写は少しワイルドだった。

 六本木ヒルズの前に立った伴はおもむろに何をしたか? 煙草を吸うのだ。駅前や建物内に設置された喫煙所、あるいは夜の露路ならまだしも、日中のヒルズ前で堂々と喫煙するなどという描写は、令和のドラマ(映画でも!)ではなかなか見られない。

 第3話冒頭、店の定休日に初めて外で食事する伴は、地元の味を求めて博多豚骨ラーメン屋に入るが、そこで一杯800円という価格にえらく驚いていた。でも物価高騰の現在、六本木のラーメン屋ならなおさら、その価格では食べられないだろう。

 そしてスマートフォン登場前の本作では、パカパカ開く必要があるガラケーが当たり前だし、伴が一人前のシェフになるため修行するバッカナーレの厨房ではあからさまなパワハラ行為も日常茶飯事だ。

 もはやちょっとしたおとぎ話にさえ思えてくる。そもそもバッカナーレの所在地が六本木八丁目に設定されているのはどういうことなのか。

 いわずもがな、六本木は七丁目までしかない。八丁目は存在しない。
なのにバッカナーレ前の電柱には六本木八丁目と記されている。レストラン外観のロケ地自体は江東区なのだが、この架空の住所が示すものとは?

松本潤の魅力をギュッと閉じ込めた玉手箱として

 主演の松本潤が六本木を闊歩する。そこには何かこう、物語というフィクションが現実の街に確かに強く宿る感動みたいなものがある。

 何でもできると思って上京したのに、何もできない伴がもがき、行きつ戻りつしながらも走り出すとき、画面上には今も六本木の街に建つ、ある建物が必ずといっていいくらい映り込む。

 六本木交差点の角にある三菱東京UFJ銀行の支店だ。そこの角をミッドタウン方向に曲がれば、伴がガイドブックをひろげていた最初の地点がある。物語の舞台とロケ地が連関しながら、六本木という空間自体、主人公が成長する道のりのような役割になっている。

 そしてその最初の地点のすぐ近くには、今も営業するペットショップWANがあり、そこは松本主演の代表的ドラマ『花より男子2』(2007年)第9話のロケ地にもなった場所でもある。

20年前の松本潤が眩しすぎる!平成ドラマで再確認する、時代を超えた「圧倒的スター性」の正体
『19番目のカルテ』(TBS)公式サイトより
 同作同話には道明寺司(松本潤)と牧野つくし(井上真央)による雨の名場面があるが、松本潤とはとりもなおさず雨にうたれる姿が似合う俳優ではないか。『バンビ~ノ!』第1話でも佐藤隆太演じる先輩シェフからこっぴどく焼きを入れられた伴が、バッカナーレの外、土砂降りの路上で苦虫を噛み潰すエモーショナルな瞬間がある。

 松本の顔に雨が降り注ぎ、彼の特徴的な下唇を雨粒が滴る。その一粒にはえもいわれぬ感動がある。
六本木八丁目という架空の場所は、松本潤という大スターを最高の仕上げでメイクアップする夢の空間なのだ。

 そんな特別仕様で作られた『バンビ~ノ!』は20年経った今だからこそ、松本潤の魅力をギュッと閉じ込めた玉手箱として楽しめる。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
イケメン研究家 / (株)KKミュージック取締役
“イケメン研究家”として大学時代からイケメン俳優に関するコラムを多くの媒体で執筆。アーティストマネジメント、ダイナマイトボートレース等のCM作品やコンサートでのクラシック音楽監修、大手ディベロッパーの映像キャスティング・演出、アジア映画宣伝プロデュースを手掛ける。他に、LDHアーティストのオフィシャルレポート担当や特典映像の聞き手など。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。
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