国内最大規模の国際音楽賞『MUSIC AWARDS JAPAN 2026』にて、2年連続で最優秀アーティスト賞を受賞したMrs. GREEN APPLE。今や彼らが日本の音楽シーンの頂点に君臨していることに、異論を挟む人はいないでしょう。


 しかし、今、世間が驚いているのは、その音楽的功績以上に、フロントマン・大森元貴さんの「全方位外交」とも言える活動の幅広さではないでしょうか。彼の表現欲求は、ドラマや映画、バラエティまで広がり、もはや音楽の枠に収まりません。

ミセス大森元貴はなぜ「王道バラエティ」にも全力なのか? 元不...の画像はこちら >>

「テレビっ子」を公言する大森の全力で挑む姿

 俳優としては、timeleszの菊池風磨さんとW主演を務めた『#真相をお話しします』で “静かな狂気”を見せ、映画初出演とは思えない器用さを見せつけました。NHK連続テレビ小説『あんぱん』では役作りのために5キロ増量。音楽家役を軽やかに、かつ芯の強さを持って演じ切ったのです

 さらに、4月からスタートした全国ネット初となる冠バラエティ番組『テレビ×ミセス』(TBS系)での振る舞いには驚愕させられるばかり。かつて、これほどのカリスマ性を持つトップアーティストが、緑色のジャージ姿で「粉落ちターザン」に挑戦し、顔を粉まみれにして笑いを取りにいったことがあったでしょうか。

ミセス大森元貴はなぜ「王道バラエティ」にも全力なのか? 元不登校の“孤独”と天才が信じる“大衆性”の正体
画像:「テレビ×ミセス」TBS公式サイトより
 大森さんは自らを「テレビっ子」と公言し、「日本中にワクワクやドキドキを届けたい」との思いで同番組に挑んでいます。彼に全幅の信頼を寄せているギターの若井滉斗さん、キーボードの藤澤涼架さんと共に、昭和から平成にかけての王道バラエティを全力で肯定。

 巨大ジェンガや逆バンジー、コントにまで体当たりで挑むその姿からは、威圧感のない圧倒的な感じの良さが伝わってくるのです。

硬派なミュージシャンと真逆を進むミセス

 かつての大物ミュージシャンたちはバラエティを避け、『NHK紅白歌合戦』(NHK)や、硬派ではないとされる音楽番組から距離を置くことでその神秘性を保ってきました。しかし、ミセスはその真逆を突き進んでいるのです。

ミセス大森元貴はなぜ「王道バラエティ」にも全力なのか? 元不登校の“孤独”と天才が信じる“大衆性”の正体
画像:KDDI株式会社プレスリリースより(PRTIMES)
 彼らはバンドとしては史上初の『日本レコード大賞』3連覇、紅白常連化からの大トリ、ストリーミングやカラオケランキングの席巻といった華々しい実績を持ちながら、決して「高み」に留まろうとしません。

 対バンライブでは乃木坂46と、SNSではNiziUと、冠番組ではM!LKと共にパフォーマンスするなど、アイドルや他ジャンルのアーティストに対しても一貫してリスペクトを払い続けています。

中学時代、不登校だった過去の影響

 大森さんは、中学校時代、楽曲制作に明け暮れ不登校だったことを明かしています。社会との隔絶を味わったからこそ、彼は今、誰よりも人とつながることに貪欲なのかもしれません。


 そして「ミーハーであることをやめない」。この精神こそが、老若男女という不特定多数を相手にするテレビメディアにおいて、彼らを最強の存在にしているのではないでしょうか。

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Blu-ray『ENSEMBLE TOUR 〜ソワレ・ドゥ・ラ・ブリュ〜 』(ユニバーサル ミュージック)
 大箱の会場が充実し推し活全盛の昨今、ライブやグッズ、ストリーミングだけで十分な収益を上げることは可能なはずです。それでもあえて、彼らが音楽賞やバラエティに極めて協力的なのは、テレビという媒体の持つ「大衆性」を信じ、そこへの愛着があるからなのでしょう。

「フェーズ1」活動完結を経て深化した表現

 今、無双状態の大森さんですが、ミセスの活動すべてが順風満帆だったわけではありません。

 彼はデビュー後、早期に成功を収めながらも、重圧や方向性の迷いから、2020年にそれまでの活動である「フェーズ1」を完結させた過去を持ちます。この活動休止という自分たちを見つめ直す期間が、結果として彼の表現を深化させたのです。

ミセス大森元貴はなぜ「王道バラエティ」にも全力なのか? 元不登校の“孤独”と天才が信じる“大衆性”の正体
画像:映画『 #真相をお話しします』公式サイトより
 迷いや葛藤を経て、楽曲にはより血の通った情緒が宿り、俳優としては内面の揺れを繊細に表現できるようになった。そして何より、自分を守っていた殻を少しずつ脱ぎ捨てたことで、バラエティで見せるような素の魅力が解放されたのだと思います。

 ミセスほどの規模になると、MVを巡る炎上騒動やライブの騒音問題といった逆風にさらされることもあります。しかし、その都度見せる誠実な謝罪と、日頃から積み上げてきたクリーンなイメージが、致命的なダメージを寄せ付けない強固な地盤となっています。

 作詞・作曲・編曲を一手に担い、MVの発想まで携わる高いクリエイター能力を持ちながら、一方でバラエティでも全力投球し笑われることを厭わない。このギャップを生み出せるバンドのフロントマンは、後にも先にも大森さんだけなのではないでしょうか。


音楽、バラエティ、ドラマ…エンタメ界の救世主となるか

ミセス大森元貴はなぜ「王道バラエティ」にも全力なのか? 元不登校の“孤独”と天才が信じる“大衆性”の正体
画像:TikTok Japanプレスリリースより(PRTIMES)
 テレビに頼らずとも自由に発信出来る今日において、どんなコンセプトの音楽番組でも、音楽賞でも、バラエティでも、協力を惜しまない。新時代のスターとして、まさにエンタメ界の救世主とも呼べる存在となったと言えるでしょう。

 かつて「学校に行かなかった少年」は今、テレビの真ん中で粉にまみれ、日本中に活力を与えている。神秘性に頼らず大衆性を信じ抜く彼らの姿勢が、現代における「新時代のスター」としての地位を揺るぎないものにしているのです。

<文/こじらぶ>

【こじらぶ】
ライター・コラムニスト。上智大学大学院外国語学研究科修了・言語学修士。ドラマ、男性&女性アイドル、スポーツ、エンタメ全般から時事ネタまで。俳優、アイドルなどのインタビューも。X: @kojirabu0419
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