2026年春クールのドラマも、多くの俳優たちが光る演技で私たちを魅了してくれました。豪華な主演陣の活躍はもちろんですが、その脇で主役を引き立てつつ、ひと際鮮烈な印象を残した「助演俳優」たちの存在も見逃せません。


 今回は、毎クールのドラマチェックを欠かさないアラフォー筆者が独自の目線で厳選した、春ドラマの「ベスト助演俳優」3名をご紹介します。
※本記事は作品の最新話までのネタバレを含みます。

三浦綺羅『鬼女の棲む家』

「13歳とは思えない存在感…」春ドラマで圧巻の演技を魅せた助...の画像はこちら >>
 まず紹介したいのが、『鬼女の棲む家』(中京テレビ制作・日本テレビ系)に出演した、まだ13歳の三浦綺羅(みうら・きら)です。

 石田ひかり主演の本作は、SNSによる特定や炎上、歪んだ正義を題材に、平穏に見えた家族が崩壊していく姿を描いたサスペンスフルなホームドラマ。三浦が演じたのは、主人公・明香里の息子である星野歩夢。中学受験失敗をきっかけに引きこもりがちになり、家族の本性を部屋の中から静かに見つめ続ける中学2年生という難役でした。

思春期の繊細さと無謀さを、リアルに体現

 序盤の歩夢は、言葉数も少なくオンラインゲームに没頭し、まるで“そこにいない”かのような存在感。けれど三浦の演技には、ただの「引きこもりの少年」では片づけられない不穏さが漂っていました。家族が少しずつ壊れていく気配を誰よりも近くで感じ取り、その視線の奥に宿る失望や怒り、諦めが、台詞以上にひしひしと伝わってきたのです。

 第8話で突然女装して現れたり、父の再就職先で迷惑動画を撮影・拡散したりする行動は、表面上はただの“奇行”。しかし第9話で家族に本音をぶつける場面によって、それが単なる反抗ではなく、長く積もった孤独と怒りの大爆発だったことが際立ちました。

 思春期特有の繊細さと、後先考えない無謀さ。歩夢という少年の危うさを強烈に焼きつけた表現力は、とても13歳とは思えません。大河ドラマ『どうする家康』などで見せてきた存在感をさらにアップデートし、彼が“子役”という枠を軽々と越えていく役者であることを、改めて証明した一作だったのではないでしょうか。


倉悠貴『銀河の一票』『豊臣兄弟!』

「13歳とは思えない存在感…」春ドラマで圧巻の演技を魅せた助演俳優3選──“子役”という枠を軽々と飛び越え、底知れぬ才能を改めて証明したのは…
画像:「銀河の一票」HPより
 次にご紹介するのは、『銀河の一票』(カンテレ制作・フジテレビ系)で、松下洸平演じる主人公の秘書・藤堂昴を好演した倉悠貴(くら・ゆうき)です。

 倉は同時期に、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』にも小寺(黒田)官兵衛役として出演。秘書と軍師、どちらも主君を支える“参謀”という似たポジションでありながら、全く異なるベクトルの魅力を同時並行で提示し、今期トップクラスの印象を残しています。

秘書と軍師、2つの参謀役で異なる魅力を発揮

『銀河の一票』の藤堂は、感情を表に出さない“鉄仮面”。しかし倉は、その無表情のなかに絶妙なユーモアと愛嬌を潜ませ、作品に心地よいアクセントをもたらしています。少しの佇まいや一瞬の視線だけで人間性を伝える表現力は秀逸の一言。「無表情なのに、気づけば目で追ってしまう」と視聴者を惹きつけています。さらに、松下との絶妙な距離感も見逃せません。回を追うごとにバディとしての絆と深みを増していく2人のコンビネーションは、物語を牽引する大きな魅力となっています。

 一方の大河ドラマ『豊臣兄弟!』では、歴代の名優たちが演じてきた天才軍師・官兵衛に大抜擢。初登場時は、若き天才ゆえの少し生意気でエネルギッシュな輝きを見せ、菅田将暉演じる竹中半兵衛の静かな佇まいとのコントラストが実に見事でした。

 とりわけ息を呑んだのは、第24回で見せた「1年間の監禁生活」の姿。極限まで追い詰められた過酷な状況を生々しく体現し、半兵衛が遺した想いを受け継いで豊臣兄弟を支える覚悟を決めたその眼差しには、前半の若さとは一線を画す重厚な凄みが宿っていました。

 現代劇では引き算で魅せ、時代劇では野心と熱をにじませる。
短い出番でも役の輪郭をくっきり残せる倉は、やはりただ者ではありません。

本田響矢『GIFT』

「13歳とは思えない存在感…」春ドラマで圧巻の演技を魅せた助演俳優3選──“子役”という枠を軽々と飛び越え、底知れぬ才能を改めて証明したのは…
画像:TVerより
 最後にご紹介したいのは、日曜劇場『GIFT』(TBS系)で、車いすラグビーチーム「ブレイズブルズ」の選手・朝谷圭二郎を演じた本田響矢(ほんだ・きょうや)です。

 大ヒットを記録し続編も決定した『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)で演じた「不器用で誠実な帝国海軍中尉」から一転。今回は、バイク事故をきっかけに車いすラグビーの世界へ足を踏み入れる“金髪ヤンキー青年”という驚きの変貌ぶりで視聴者を魅了しました。

感情の機微と泥臭い熱量で、名優陣に埋もれぬ輝き

 序盤の圭二郎は、周囲をかき乱すトラブルメーカー。けれど本田は、その荒々しさを単なる“尖った若者”として演じていませんでした。失われた日常への戸惑い、行き場のない苛立ち、周囲を遠ざけて自分を守ろうとする弱さ……。そのすべてが、乱暴な言葉や表情の端々からにじみ出ていたのです。

 競技に向き合ううちに、もともとの負けず嫌いな性格や真っすぐさが前面に出てくる圭二郎。ぶつかり、転び、悔しがりながらも前へ進もうとする彼の姿には、作品全体を押し上げるような強いエネルギーがありました。

 車いすラグビーというフィジカルな役作りに加え、人生が一変した若者の「痛み」と、再び夢中になれるものを見つけた「高揚感」を丁寧に重ねています。競技シーンの迫力だけでなく、ふとした沈黙や視線にも説得力があるからこそ、圭二郎の成長がまっすぐ視聴者の胸に届いたのではないでしょうか。堤真一、山田裕貴、有村架純といった主役級の俳優陣が揃う日曜劇場のなかで、臆することなく強烈な爪痕を残した彼の熱演は、今期のドラマシーンに鮮烈な光を焼きつけました。


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 今クールのドラマも、心を揺さぶる名演が数多く見られました。皆さんの心に一番残った「俳優」はどなたでしたか?

<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201
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