最大8万人が暮らせる全長1.6kmの「海上都市」フリーダム・シップ

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 海の上に巨大な船を浮かべ、8万人が暮らせる都市を作る。そんな途方もない構想が注目を集めている。

 その船の名は「フリーダム・シップ[https://freedomship.com/]」。計画では全長約1.6km、幅約229m、30階建ての巨大な海上都市となるらしい。

 住宅や公園、学校はもちろん、商業施設、病院、さらにはホテルやスタジアムまで備え、ゆっくりと「生活しながら」世界一周旅行が楽しめるんだとか。

 こんな「動く都市」が実現したら、みんなは住んでみたいと思うだろうか。

ひとつの街を丸ごと海に浮かべた超巨大客船計画

 1990年代後半、アメリカの技術者ノーマン・ニクソン氏は、全長1kmをはるかに超える巨大な船の上に住宅、学校、病院、公園、商業施設などを備え、数万人が暮らせる海上都市を建設するという壮大な構想を打ち出した。

 その名は「フリーダム・シップ」。ただの豪華客船ではなく、世界中を移動しながら人々が働き、学び、暮らす都市そのものを海に浮かべようという計画だった。

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 だが、この構想は長い間実現しなかった。ニクソン氏の計画は、資金調達や技術面の課題を越えられず、実際の建造には至らなかったのだ。

 2012年にニクソン氏がこの世を去ると、計画は頓挫を余儀なくされる。そして破天荒な夢物語のひとつとして、世間からは忘れ去られたかのように見えた。

 しかし、実は「海上を移動する都市」という、フリーダム・シップの構想そのものが消えたわけではなかった。

 ニクソン氏のチームでこのプロジェクトに関わっていたロジャー・グーチ氏は、その後もこの客船の実現を目指し、投資家や海事関連企業とも接触を図るなど、計画の再始動を試みていた。

 そして2018年2月13日、グーチ氏はフロリダ州で、現在の開発主体であるフリーダム・クルーズ・ライン・インターナショナル社を設立。

 2026年3月30日、同社は「海上都市」と銘打った新たな「フリーダム・シップ」の構想を、改めて世界に向けて発表したのである。

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8万人を乗せて世界をめぐる「海上都市」

 今回発表された計画は、ニクソン氏の1990年代の構想をそのまま復活させたものではない。

 だが、巨大な海上都市を建設するという基本理念は受け継がれており、最新の設計や技術を取り入れた新たな計画として再始動したのである。

 かつてニクソン氏が構想したフリーダム・シップは、全長1,371.6m、幅228m、高さ106.68mの25階建てという規模だった。

 これに対し、2026年版の新たなフリーダム・シップは全長1,609.34m、幅228.6m、30階建ての巨大客船として構想されている。

 収容人数は居住者や短期滞在者、乗組員を含めて8万人超。内訳としては、5万人の居住者、1万人の一時滞在者、2万人の乗組員を想定しているのだそうだ。

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 フリーダム・クルーズ・ライン・インターナショナル社は、この船を単なるクルーズ船ではなく、人々がそこで暮らし、働き、学ぶ「移動する都市」と位置付けている。

 船内には長期滞在者が暮らす住宅のほか、学校や公園、レストラン、商業施設、そして銀行といった生活の場が用意される。

 さらにホテルやカジノ、博物館、スポーツスタジアム、シンフォニーホール、ウォーターパークンドなどの娯楽施設も整備される予定だ。

 その他、コンベンションセンターや病院、大学を含む研究施設までが、この巨大な船の上に建設される計画なのだそうだ。

 そしてこの「海上都市」は、時速約13kmの速度で世界各地の港を巡りながら、およそ2年間をかけて世界一周するという。

 これはもう単なるクルーズではない。船上で生活しながら世界を旅するという、これまでの常識を覆す新しい「旅のかたち」と言えるだろう。

 なお、フリーダム・シップは巨大すぎて通常の港には接岸できないため、寄港地では沖合に停泊。フェリーや航空機で、陸地との間を行き来することになるそうだ。

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実現までにはまだまだ課題が山積み

 もっとも、このフリーダム・シップが実際に建造され、海の上を旅するようになるまでの道のりは、決して平坦とは言い難い。

 最大の課題は、やはり資金の問題である。フリーダム・シップの建造費は、なんと約120億ポンド(約2兆5,800億円)という天文学的な数字になるらしい。

 船体自体も通常のクルーズ船とは比較にならないほど巨大なため、これだけの船を建造するとなると、それ自体が造船所にとって前例のない挑戦となるだろう。

 さらに、8万人規模の人々が海上で生活するとなれば、エネルギーの供給や排水、廃棄物の処理など、日常生活で必要なインフラも課題となる。

 医療体制や治安維持、万が一の際の避難計画、子供たちの教育や外部との通信など、ひとつの都市を運営するのと同等の仕組みが必要になるのだ。

 また、国際水域を移動する以上、該当する国や地域それぞれにおける税制や労働法、環境規制など、法的な問題も避けて通れない。

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 実はこれまでにも、居住型客船や浮遊都市のような海上コミュニティを目指した計画は、いくつも提案されてきた。中にはもちろん、実現したものもある。

 たとえば居住型の超豪華クルーズ船「ザ・ワールド[https://aboardtheworld.com/?lang=ja]」は、コンドミニアムタイプのレジデンス(居住空間)が販売されている。

 オーナーはこの「家」に居住しながら船旅を楽しむことができるのだが、購入するには最低でも10億円以上の資産が必要とされる。

 庶民にはおよそ縁のない、超富裕層向けの客船なのだ。とはいえ、「ザ・ワールド」の客室数はわずか165室で、その規模はフリーダム・シップとは比較にならない。

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 また、485室の客室を持つ居住型客船「ヴィラ・ヴィエ・オデッセイ[https://villavieresidences.com/odyssey]」なら、もう少しお手ごろな価格で船旅が楽しめるようだ。

 こちらは5年間オーナーシップなら59,999ドル(約870万円)から。賃貸なら月に70~90万円程度で利用可能である。

 世界初の「暗号資産クルーズ船」として進められていた「MSサトシ[https://en.wikipedia.org/wiki/MS_Ambience]」は、規制や保険の問題に直面して頓挫している。

「海上都市」で暮らす居住者たち

 グーチ氏はフリーダム・シップの実現に向けて、次のように語っている。

私たちは、この計画を実現できると非常に自信を持っています。ただし、資金調達が最大の鍵になります

 資金が確保され次第、フリーダム・シップはインドネシアで建造される予定で、完成までには最長4年かかるとされている。

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 では、この「巨大船上都市」では、いったいどのような人々が日々の生活を送りながら、世界を旅することを想定しているのだろうか。

 公式発表によると、フリーダム・シップでは居住区画の販売や賃貸を予定しており、長期居住者を主要な対象としていることがうかがえる。

 リモートワークが普及した現代では、場所に縛られずに仕事をし、収入を得て生活する、新しいライフスタイルを実践する人も増えている。

 フリーダム・シップはそうした人々に加え、企業や研究機関、教育機関、医療施設、さらにはスタートアップなども「住人」として取り込もうとしているようだ。

私たちは、陸上のコミュニティでそうするのと同じように、起業家たちに私たちからスペースを賃借、あるいは購入してもらいたいと考えています。

また、最先端の病院も設けたいと考えています。私たちにはすでに医療研究機関から問い合わせが来ています。

規制当局の管轄外で活動できるため、フリーダム・シップはそうした研究にとって理想的な場所になるでしょう

 フリーダム・シップの構想が30年近くの間続いてきたのは、人類が抱いてきた「海の上に都市を築く」という夢が、それだけ魅力的だからなのかもしれない。

 もしこの船が実現したとして、そして料金が手の届く価格帯だったとしたら、みんなは乗ってみたいと思うだろうか。

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References: Freedom Ship – The Mile-Long Floating City That Can Carry Up to 80,000 People[https://www.odditycentral.com/news/freedom-ship-the-mile-long-floating-city-that-can-carry-up-to-80000-people.html]

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