地球は8000万年前から木星衛星エウロパに生命を送り込み続けている可能性
木星の地表から眺めるエウロパのイメージ図 Image credit:NASA / JPL-Caltech

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 木星の衛星エウロパの海に、生命が存在するかもしれない。そしてそれは、地球から飛来した微生物である可能性がある。

 ジョージアのトビリシ自由大学の最新研究によれば、宇宙から飛来した微小な隕石が地球大気に衝突する衝撃で、微生物を含んだ塵が大気の外へ弾き飛ばされ、6億km先のエウロパへ届き続けてきたという。

 8000万年前から今この瞬間も、毎秒3億個以上の粒子が降り注いでいる計算だ。地球は知らぬ間に、木星の海へ生命の種をまき続けていたのかもしれない。

 この研究成果は『International Journal of Astrobiology[https://www.cambridge.org/core/journals/international-journal-of-astrobiology/article/earth-as-a-potential-source-of-life-for-europas-subsurface-ocean/9E43A6263295AFFDF4618BBABE7B45C2]』誌(2026年5月20日付)に掲載された。

氷の下に海を持つ木星の衛星エウロパ

 エウロパは木星の第2衛星で、直径は約3,122km。地球の衛星である月(直径3,475km)よりもわずかに小さい天体だ。

 内部は岩石と金属でできており、地球と似た構造を持つ天体だ。

 表面全体が厚い氷で覆われているが、その下には液体の海が広がっていると考えられており、生命が存在する可能性がある天体として長年、科学者たちの注目を集めてきた。

 地球から約6億km離れた極寒の場所に位置しながら海が液体でいられるのは、木星の巨大な重力がエウロパを常に引っ張り、その摩擦熱で内部を温め続けていると考えられている。

 ジョージアのトビリシ自由大学のザザ・オスマノフ氏ら研究チームは、エウロパの海には、地球から飛び出した微生物の一種である細菌が、8000万年前からずっと降り注ぎ続けてきた可能性を計算ではじきだした。

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地球の細菌が宇宙へ飛び出すメカニズム

 地球の大気には、肉眼では見えないほど小さな無数の生命、細菌が漂っている。

 宇宙から飛来した微小な隕石が大気に秒速数kmで突入すると、その衝撃で大気中の塵を巻き上げ、細菌ごと宇宙へ弾き飛ばすことがある。

 研究チームの計算によれば、高度150kmの地点で塵の粒子は秒速約14kmまで加速される。地球の重力を振り切るのに必要な速度は秒速11.2kmなので、細菌を含んだ塵は地球の外へ脱出できる。

 細菌が生き残るには移動中の温度が約27℃以下に保たれる必要があるが、秒速14kmという速度ならその条件をクリアできる。

 地球の大気は、宇宙へ向かう細菌の発射台として機能していたわけだ。

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6億km先への旅と生死を分ける1度の角度

 地球を飛び出した塵の粒子は、太陽の重力と太陽光の圧力のバランスを受けながら木星方向へと流されていく。

 ただし地球を出た粒子がすべてエウロパに届くわけではない。

 木星の軌道に到達できる打ち出し角度は限られており、さらに木星がちょうどその位置にいるタイミングと合わなければ引力に捕まえてもらえない。

 エウロパに近づいた粒子は秒速約20kmという猛スピードで氷の表面に衝突する。

 衝突の衝撃で発生する熱は細菌を死滅させてしまうが、ほぼ水平に近い角度でかすめるように衝突した場合だけは温度上昇が抑えられ、細菌が生き残れる。

 計算上、細菌が生存できる衝突角度は表面に対してわずか1度以下という極めて狭い範囲に限られる。

 石が水面を跳ねるように、ぎりぎりかすめる角度でなければならないのだ。

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毎秒3億個、8000万年分の細菌がエウロパへ

 打ち出し角度、木星との位置関係、衝突角度など、あらゆる条件を組み合わせて計算した結果、細菌を含んだ粒子がエウロパに届く数は毎秒約3億2000万個にのぼることがわかった。

 エウロパの氷の地殻の推定年齢は3000万~8000万年で、その期間ずっとこの割合で粒子が降り注いできたとすると、総数は3×10²³~8×10²³個になる。

 炭素原子1gに含まれる原子の数が約5×10²²個なので、その数十倍という規模だ。

 エウロパの表面は木星の強烈な放射線にさらされているため、届いた細菌は約1万年で死滅する。

 しかし木星の潮汐力によってエウロパの氷は定期的に亀裂が入り、表面積の20~40%で1000年から10万年ごとに氷が割れて更新される。

 この亀裂から細菌を含んだ粒子が氷の深部へと運ばれ、液体の海に到達できる可能性がある。

 オスマノフ氏はこの結果について、エウロパの地下海に生命が存在する可能性を強く示唆すると結論づけた。

 もし地球由来の細菌がエウロパの海で生き続けているなら、人類が太陽系で最初に出会う地球外生命は、8000万年前に地球から旅立った細菌が適応進化を遂げた姿かもしれない。 

まとめ

この研究でわかったこと

  • 宇宙から飛んできた隕石が地球大気に衝突する衝撃で、細菌を含む塵が宇宙へ弾き飛ばされ、木星の衛星エウロパに届いていた可能性がある
  • 8000万年前からこの瞬間も毎秒約3億2000万個の細菌入り粒子がエウロパに降り注いでいる計算になる
  • エウロパの氷に入った亀裂から細菌が氷の深部へ運ばれ、地下の海に到達できる可能性がある

まだわかっていないこと

  • エウロパの地下海の環境が地球由来の細菌が生きられる条件を満たしているかどうかはまだ調査されていない

 NASAが木星の衛星エウロパを観測するために打ち上げた大型探査機「エウロパ・クリッパー」は、2030年の到達予定だ。

 なにかすごい事実を発見してくれるかもしれない。

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References: DOI: 10.1017/s1473550426100354[https://www.cambridge.org/core/journals/international-journal-of-astrobiology/article/earth-as-a-potential-source-of-life-for-europas-subsurface-ocean/9E43A6263295AFFDF4618BBABE7B45C2] / Could Earth have sent life to Jupiter's moon Europa?[https://phys.org/news/2026-06-earth-life-jupiter-moon-europa.html] / Hundreds of Thousands of Quadrillions of Bacteria Could Have Reached a Moon of Jupiter from Earth in the Last 80 Million Years[https://www.labrujulaverde.com/en/2026/06/hundreds-of-thousands-of-quadrillions-of-bacteria-could-have-reached-a-moon-of-jupiter-from-earth-in-the-last-80-million-years/]

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