超背徳のグルメ。盗んだフライドポテトの方がおいしく感じることが研究で明らかに
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 人が食べているフライドポテトがやたらうまそうに見える。実際に許可なくつまんで食べてみたら、なにこれうまい!その感覚は気のせいではなかった。

 ロシアの研究チームが120人を対象に行った実験で、まったく同じフライドポテトでも、許可なく取った場合のほうが約40%もおいしく感じることが科学的に証明された。

 しかもリスクが高ければ高いほどおいしさは増すという。罪悪感と興奮が脳を刺激し、感覚そのものを塗り替えてしまうようだ。

 高カロリー・高脂肪・高糖質で、食べることに罪悪感を抱いてしまう食べ物を「背徳グルメ」などと呼ぶこともあるが、さらに「人のものを奪う」という罪悪感が加わることで、超背徳グルメとなってしまうようだ。

 この研究成果は『Food Quality and Preference[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0950329326001126]』誌(2026年4月21日付)に掲載された。

同じフライドポテトなのに人のを盗んだ方がうまい

 ロシア医学継続教育アカデミーの依存症心理学者ヴァレンティン・スクリャービン氏率いる研究チームは、120人の成人を対象に「道徳的な逸脱行為が味覚的な喜びを高めるかどうか」を調べる実験を行った。

 参加者全員に、重さ・温度・調理法もまったく同じフライドポテトを4つの異なる状況で食べてもらい、味を評価させた。

1.自分用として出されたものを食べる

2.他の参加者からもらったものを食べる

3.フライドポテトの持ち主がよそ見をしている隙に許可なくこっそり1本取って食べる

4.フライドポテトの持ち主が明らかに見ている状況の中で、その人の皿から許可なく1本取って食べる

 その結果、フライドポテトの持ち主からこっそり取って食べたものは、自分用として出されたものより明らかにおいしいと評価された。

 持ち主の視線が厳しいほどその差は広がり、持ち主に明らかに見られている状況で取ったフライドポテトは、自分のものと比べておいしさが約40%も高く評価された。

物理的にはまったく同じものを食べているにもかかわらず、だ。

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罪悪感と興奮が脳を刺激する

 持ち主に許可なく黙って取ったとき、参加者は強い罪悪感を覚えた。

 一般的な社会では「人のものを盗んではいけない」と教えられて子は育つ。その教えがあるからこそ、持ち主に黙って取る行為が後ろめたさを生む。

 ところが実験では、強い罪悪感を感じた人ほどフライドポテトをおいしく感じていた。

後ろめたさが大きいほど味が際立つ、まさに禁断の味だ。

 スクリャービン氏は、人のものを許可なく取るとおいしく感じてしまう脳の働きを3つ挙げている。

 1つ目は心理的リアクタンスだ。

 心理的リアクタンスとは、自分の行動や選択の自由が外から制限されたと感じたとき、それに反発して自由を取り戻そうとする心理を指す。

 取ってはいけないと感じるほど、その反発が禁じられたフライドポテトをいっそう魅力的に見せる。

 2つ目は体が興奮状態になること。

 やってはいけないことをすると心拍数が上がり、注意が鋭くなる。この高ぶった状態が味の信号を強め、同じ塩気がより濃く、同じカリカリ感がより満足のいくものに感じられるという。

 3つ目は期待感だ。

 人は子供時代から、食べてはいけないと禁じられたものほどおいしいのではという思いを抱いて育つ、とスクリャービン氏は言う。

 おいしいはずだと予測して口に運ぶと、脳はその予測に合わせて、実際の味をいっそうおいしいものに感じさせる。

 スクリャービン氏は、これらの要素が絡み合ったことで、同じ食べ物でも、人からリスクを冒して奪ったほうがおいしく感じるのではと推測している。

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年齢も性別も性格も無関係だった

 人の食べ物を許可なく食べることでおいしさが跳ね上がる現象に、年齢や性別、性格は影響しなかった。

 唯一影響したのは、実験前の空腹度だった。

 お腹が空いている参加者ほど、背徳による味の変化がやや小さくなった。

 体が強く食べ物を求めている状態では、どうやって手に入れたかという状況の効果が薄れるとスクリャービン氏は説明する。

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この実験の限界は指示されていたこと

 スクリャービン氏はこの実験の限界も正直に認めている。

 参加者は研究者の指示でフライドポテトを取っており、自分の意思で許可なく人の食べ物をとったわけではない。

 実験という安全な場での行為のため、実際の店などで行った場合でも、脳が同じように反応するかどうかはわからない。

 また、今回の研究は、フライドポテト1種類を1か所の実験室で調べただけで、他の食べ物や状況に当てはまるかも未知数だ。

 スクリャービン氏は、次の実験では、かつて世界で最も盗まれる食べ物とされたチーズにする予定だと話している。

禁じられたものへの満足感は食べ物以外でも高まるのか

 スクリャービン氏は、この現象が食べ物以外にも当てはまる可能性があると推測している。

 禁じられたものへの強い欲求は、旧約聖書のエデンの園からダンテの叙事詩『神曲』まで、人類が繰り返し描いてきたテーマだ。

 手に入れにくい商品、見られないように制限された情報、許されない恋愛と、制限が欲求を膨らませる例は身の回りにあふれている。

 ただし食べ物には、重さも温度も調理法もすべて同じ条件に揃えられるという、実験材料としての強みがある。

 制限されたり奪い合ったりした体験に、脳はより強い快感を得る。

 味も、舌だけでつくられるのではなく、脳と感情と、そのとき置かれた状況が一緒になって生み出しているのかもしれない。

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References: DOI.10.1016/j.foodqual.2026.105958[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0950329326001126] / Forbidden food tastes better due to psychology, study reveals[https://refractor.io/biology/stolen-french-fries-taste-better/]

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