YouTubeの動画がきっかけで、リビアにスナネコが生息していることが科学的に証明される
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 愛らしい逆三角形の顔と大きな耳を持つ砂漠に生息する唯一のネコ科動物スナネコの生息域はこれまで考えられていた以上に広かった。

 2017年、野生動物写真家がリビアの砂漠でスナネコを撮影した動画をYoutubeに投稿した。

だが、「リビアにスナネコはいない」と懐疑的な声が上がっていた。

 だが、南アフリカの動物学者は写真家を信じ、8年がかりの共同調査を行った。

 その結果、リビア南西部サハラ砂漠の13か所でスナネコの生息が初めて科学的に証明されたのだ。

 この研究成果は『Journal of Arid Environments[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140196325001697]』誌(2026年)に掲載された。

砂漠に生息するスナネコ

 食肉目ネコ科ネコ属のスナネコは、砂漠環境に適応した世界唯一のネコ科動物だ。

 体長はおよそ45cm前後と家猫とほぼ同じ大きさで、逆三角形の顔に大きな耳、砂に溶け込む淡い砂色の毛が特徴だ。

 足裏には厚い毛が生えており、灼熱の砂の上を歩いても火傷しない。

 夜行性で、ジャービルなどのげっ歯類を主な獲物とし、毒蛇やサソリも仕留める。

 見た目のかわいさとは裏腹に、砂漠の過酷な環境を生き抜く野性味あふれる動物だ。

 しかしその生態はまだ完全に解明されておらず、北アフリカのリビアでは、科学的に存在の確認記録が一件も存在しなかった。

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リビアで撮影されたスナネコの動画

 2017年、リビアのジンタン近郊に暮らす野生動物写真家ムハンマド・アルムンタシール氏は、南西部の砂丘で砂に穴を掘るスナネコを撮影し、YouTubeに投稿した。

 しかし「リビアにスナネコはいない」という懐疑的な声が多く上がった。

 それでもアルムンタシール氏は、自分が住むジンタンから70kmの場所を含め、複数の場所でスナネコを目撃したと主張し続けた。

 その動画に目を留めたのが、南アフリカのソル・プラーチェ大学での動物学者フィラス・ハイダー博士だ。

 小型肉食動物を専門とするハイダー博士は、これまで、リビアに関するあらゆる科学文献を調査し、スナネコの存在を裏付ける証拠を発見できていなかったが、アルムンタシール氏の動画に信ぴょう性を感じていた。

 そこでハイダー博士は、アルムンタシール氏に共同調査を提案し、8年がかりの研究が始まった。

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銃撃を受けながらスナネコを追い続ける8年間の砂漠調査

 リビア南西部は北アフリカでも特に調査が進んでいない地域だ。

 保護区もトレイルカメラも存在しない。アルジェリア・ニジェール・チャドとの国境地帯では密輸ネットワークが活発に動いており、野外調査には身の危険が付きまとう。

 アルムンタシール氏は実際に、調査中に銃撃を受けて撮影現場から緊急避難したこともあった。

 ハイダー博士は南アフリカから遠隔でアルムンタシール氏にGPS座標の記録方法や写真・動画による目撃記録の残し方を指導した。

 アルムンタシール氏はリビアの地形を熟知するトゥアレグ族の協力を得ながら砂漠を歩き続けた。

 トゥアレグ族はサハラ砂漠に暮らすベルベル系の遊牧民で、砂漠の地形や動物の動きを世代から世代へと受け継いできた人々だ。

 足跡を数日かけて追い、巣穴を発見したらテントを張って猫が出てくるのを待つ。そんな調査が8年間積み重ねられた。

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リビアの13か所でスナネコの生息を確認

 8年にわたる調査の末、リビア南西部サハラ砂漠の13か所でスナネコの生息が初めて科学的に認められた。

 目撃36件のうち15件は、トリポリの南西約1,000kmに位置するワディ・アルメットという孤立した渓谷に集中していた。

 ワディとはアラビア語で「涸れ川・渓谷」を意味し、夏になると水を求めてアルジェリア側のタッシリ・ナジェール自然保護区から多くの動物が集まる場所だ。

 渓谷の半分以上は地形が険しすぎてまだ未踏のままで、さらなる生息地が広がっている可能性がある。

 スナネコは縄張りを持たず、降雨を追うように移動する遊牧的な動物であることがわかっている。

 2023年の研究によると、6.5か月で1,758平方kmを踏破した個体も記録されており、その行動範囲はヒョウやトラなど大型ネコ科に匹敵するほど広い。

 広い砂漠を自由に渡り歩く性質が、リビア各地での目撃につながったと考えられる。

 スナネコはげっ歯類や毒蛇、サソリを捕食し、砂漠の限られた植生を支える生態系のバランスを保つ役割を担っている。

 地元の市場でペットとして売られているケースや、狩猟者に誤って殺されているケースも確認されており、ハイダー博士はリビアの人々にスナネコの保護活動を呼び掛けている。

References: doi.org/10.1016/j.jaridenv.2025.105485[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140196325001697] / ‘No one believed it’: how a YouTube video accidentally proved Libya’s sand cat really does exist | Libya | The Guardian[https://www.theguardian.com/environment/2026/jun/24/youtube-video-proved-libya-sand-cat-exist-aoe] / Youtube Video Leads To Discovery Of Adorable Sand Cats In Libya, Where They Had Not Been Known To Live Before | IFLScience[https://www.iflscience.com/youtube-video-leads-to-discovery-of-adorable-sand-cats-in-libya-where-they-had-not-been-known-to-live-before-83921]

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