土星の環に1万機の超小型衛星を放つ!NASAが支援するぶっ飛んだ宇宙探査構想案
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 将来の宇宙ミッションに向けた技術の大きな飛躍を目指し、NASAは革新的な18の宇宙探査プロジェクトに対し資金提供を行うことを発表した。

 資金提供の対象となったプロジェクト案の中には、1万機もの超小型衛星を一気に放つという大胆な計画も含まれている。

 多数の衛星が壊れることを前提に、それでも生き残った衛星で観測を続けるという、ミッション失敗のリスクを逆手に取った捨て身の探査計画である。

NASAが18の先進的な宇宙探査構想に資金提供

 2026年7月29日、NASAは革新的先進概念プログラム(NIAC)の一環として、18のプロジェクト案を選出したと発表した。

 NIACは、まだ誰も実現していない先進的な技術のアイデアに、初期の資金を出す制度である。

 選ばれた18件は、正式な宇宙ミッションとして決まったわけではないが、将来の宇宙探査を大きく変えるかもしれない構想として、実現できるかどうかを調べる段階に入る。

 資金は18件で総額320万ドル(約5億円)。1件あたり最大17万5000ドル(約2800万円)が支給され、各チームは9か月かけて実現可能性を調べる。

 NASA研究技術ミッション本部で先進研究技術部門の責任者を務めるグレッグ・ストーバー氏は、月を拠点に火星へ進むというNASAの構想を実現するには、技術の段階的な進歩だけでは足りず、大きな飛躍が必要だと語っている。

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土星の環へ1万個の超小型衛星を放つ大胆な構想も

 18のアイデアの中でひときわ目を引くのが、アメリカ・ノースウェスタン大学のマイケル・ルーベンスタイン氏が提案した、土星の探査計画である。

 重さ10gにも満たない「フェムトサット(femtosat)」と呼ばれる超小型の人工衛星を、1万機も土星の軌道へ投入するという計画である。

 これはスマートフォンの部品の小型化技術を応用して作られている。

 1万機のフェムトサットは土星の環を横切る軌道に乗せられ、環の中を直接くぐり抜けていく。

 この方法で、環をつくる物質、土星の大気の成分と濃度、磁場の広がりをまとめて観測する計画だ。

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衝突で破壊される前提で環の直接観測を目指す 

 なぜこれほど大量の衛星を放つ必要があるのだろうか。

 カッシーニのような単一の大型探査機で土星の環を直接調査しようとすると、無数にある氷や岩石の粒子に衝突する可能性が高い。

 衝突で探査機が壊れれば、ミッションそのものが失敗に終わってしまう。

 そこでルーベンスタイン氏のチームは、最初から多数の衛星が失われるリスクを受け入れるという発想に行き着いたのだ。

 衝突で多くのフェムトサットが破壊されても、残った機体が観測データを地球に送り続ければ、これまで困難だった土星の環の直接調査が可能になるというわけだ。

 ルーベンスタイン氏は、群れで動くロボットの研究者として知られている。

 1000台を超える小型ロボットが互いに通信しながら隊形を組む「キロボット(Kilobot)[https://www.science.org/doi/10.1126/science.1254295]」の研究で成果をあげてきた人物で、その知見を宇宙探査に持ち込んだ形になる。

月の地下洞窟ロボットなど、資金提供された全18のプロジェクト案

 今回のNIACには、ほかにも常識をくつがえす構想が選ばれている。

 テキサス州ストーン・エアロスペース社が提案する、光ファイバーケーブルで電力を供給しながら月の地下にある溶岩洞窟をドローンで調べるプロジェクト「LUX」などもそのひとつだ。

 すべての技術が実現するわけではないが、これらのアイデアが将来の宇宙探査を大きく変えるかもしれない。

 今回の革新的先進概念プログラム(NIAC)に選出されたプロジェクトの概要は、今回紹介したものを含め、以下の18案である。

  • 1万機の超小型衛星で土星の環を探査(本記事で紹介したもの)
  • 制御可能な宇宙の塵を使って太陽光を減らす計画(DimSun)
  • 金星の過酷な環境に適応し、生き延びるための探査機設計(CANVAS)
  • 月の夜や極寒の宇宙空間で宇宙飛行士を温める放射性同位体スーツ(EARENDIL)
  • 光技術を活用した新しいサブミリ波宇宙干渉計(PS21)
  • 超高速ミッションのための巻き取り可能な多層ソーラーセイル
  • 洞窟などのカルスト地形を自律探査するための固体推進システム(SPARK)
  • 光ファイバーで電力を供給し、月の地下洞窟を調べる探査機(LUX)
  • 惑星や地球の科学調査に応用できる量子風ライダー技術
  • 強度相関を利用してブラックホールの光を観測するシステム(OBLIVIAN)
  • 恒星間ミッションに向けたプラズモン増強による新しい発電技術(PRTPV)
  • 環境に合わせて熱伝導率を変えられる月面用断熱材(ECLIPSE)
  • その場でサンプルを採取しながら惑星の環を自律探査する計画(PRAXIS)
  • 高度30~100kmの空間を調査するための光泳動トレーサー
  • 宇宙の状況を広範囲に把握するためのロボット組み立て式メタマテリアル
  • スリングショット(重力アシスト)を利用した惑星間の資源調査
  • 太陽系外惑星の大陸を光学的にマッピングする技術
  • 独立した宇宙船の編隊を使って重力波を検出する精密観測技術

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References: NIAC 2026 Selections[https://www.nasa.gov/directorates/stmd/niac/niac-studies/niac-2026-selections/] / Launching 10,000 tiny 'femtosats' to Saturn? NASA funds 18 futuristic spaceflight ideas | Space[https://www.space.com/technology/launching-10-000-tiny-femtosats-to-saturn-nasa-funds-18-futuristic-spaceflight-ideas] / Actively Steerable Femtosat Constellations[https://www.nasa.gov/directorates/stmd/niac/actively-steerable-femtosat-constellations-for-in-situ-exploration-of-saturns-rings-atmosphere-and-magnetosphere/]

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