性の多様性に関する理解を促す「LGBT理解増進法」に基づく初の基本計画が、法施行から3年を前にようやく策定された。政府の後ろ向きな姿勢を映しているように見えるが、これからの社会に不可欠な指針であることに変わりはない。
計画に沿った政策の具体化を急ぐ必要がある。
 計画は、自らのSOGI(性的指向や性自認)に従って社会生活を営むことは「人格と結びついた重要で切実な法益」との基本的な考え方を示す。「どのような性的指向も、それ自体は治療の対象とはならない」「性的指向やジェンダーアイデンティティを自らの意思によって変えることはできない」とも明記した。
 特定の性的指向を治療の対象と見なすかのような誤った言説も見られる中、性的少数者の権利擁護を公式に打ち出す意義は大きい。
 さらにSOGIはプライバシー情報であり、他者に打ち明けるかどうかは第三者が強要するものではなく、本人が選択するものと位置付けた。
 昨年、那覇市議会では参政党の市議がトランスジェンダーの児童生徒数やその推移を質問し、カミングアウトの強要や第三者によるアウティング(暴露)につながりかねないと批判された。市議はトランスジェンダーが「伝染する」との差別発言もしている。
 人権や平穏な生活を脅かすこうした言動を抑止し、生きづらさや不安を抱えている人を守る手段として、計画を積極的に生かしたい。
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 基本計画には講じるべき施策として、学術研究の推進、学校や地域での啓発活動による知識の普及、相談体制の整備などが盛り込まれた。
 しかし、既存の施策を並べた印象が強い。法施行から3年もたって策定された内容がこれでは不十分だ。
 ここまで時間がかかったこと自体に、伝統的な家族観を重視する保守系議員の抵抗がうかがえる。

 計画の策定過程で、自民党内からは「学校現場での普及啓発は過度であってはならない」との声も出たという。
 一方、民間団体による2025年の調査では、性的少数者の中高生の約9割が過去1年間に学校でLGBTQを笑いの対象にされるなど、困難やハラスメントを経験している。SOSを発信しにくい子どもを孤立させない対策こそ重視しなければならない。
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 海外では多くの国で同性婚が実現している。国内でも、地方自治体が先んじる形で性の多様性への理解を広げてきた。
 沖縄県は2025年3月、性的少数者のカップルとその子どもなどを家族として登録する「県パートナーシップ・ファミリーシップ制度」を導入。那覇市と浦添市でも同様な制度がある。
 性的少数者は人口の1割程度いるとされ、さらにその多くが差別や偏見に直面している。誰もが安心して暮らせる社会に向け、政府が主体的な役割を果たすべきだ。
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