米国とイランが軍事作戦終結を含む覚書に正式署名した。
一方、イランの核開発問題は従来の見解にとどまった。濃縮ウランの希釈工程も詳細は未定で、トランプ大統領の「イランは絶対に核を保有しないことになった」との主張は説得力に欠ける。
第6項ではイラン復興のため米国がパートナー国と約48兆円規模の資金を調達することも明記されるなど、覚書の多くの項目でイラン側が有利な内容となった。
交渉過程で米側が妥協を余儀なくされたことがうかがえる。米国内では与党共和党からも「数十年で最悪の外交上の失策だ」との批判が上がる。
対話を投げ捨て米国がイスラエルとともに突如イランを攻撃したのは2月末。イラン側では小学校誤爆事件も起きるなど多数の民間人犠牲が出た。
両国の応酬は湾岸諸国も巻き込み、ホルムズ海峡の事実上の封鎖にまで発展。世界経済に多大な影響を及ぼしている。
覚書では通航船舶から将来的に「サービス料」を徴収する余地も残し、攻撃をきっかけに、海峡を巡る状況がイラン側に有利に傾いたのは明らかだ。
これ以上の混乱の長期化を避けるためにも米国は、合意を確実にしなければならない。
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ただ、最終合意へ両国が協議入りできるかどうかは依然不透明だ。
覚書の2日後、米ニュースサイトは米イランが19日に協議を始める予定だったが、イスラエル軍とレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの交戦により延期になったと報じた。
レバノンでの交戦停止は米イランの交渉入りの条件となっている。イスラエルとヒズボラの不信の歴史は長い。米国の関与でいったんは停戦合意に応じたものの、現地で応酬が続いている。
だが、今回の戦闘のきっかけは米国とイスラエルによるイラン攻撃だ。戦闘終結に導く責任は米国とイスラエルにある。
懸念されるのは、こうした状況で米国とイスラエルが再び軍事力の行使を選択することだ。トランプ氏もその可能性を排除していない。
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国際社会は再攻撃を全力で阻止しなければならない。覚書を受けてホルムズ海峡を通過する原油輸送の回復が進んでいる。
これを逆戻りさせてはならない。7月には北大西洋条約機構(NATO)サミットが予定されており、高市早苗首相も参加を調整している。
各国首脳らはこうした場で「力による平和」という幻想からトランプ氏を脱却させる努力を続けてほしい。

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