戦後81年という年月の長さを考える。
 沖縄戦を教訓に、県民は「平和な島」を希求してきた。
戦争体験者は人口の1割を切り、かつての戦争がますます遠くなっていく今、沖縄が果たす役割とは何か。
 慰霊の日。県の全戦没者追悼式で玉城デニー知事は「戦争体験を受け継ぐ沖縄こそが平和に貢献できると信じ、世界の人々とともにその役割を果たす」と誓った。
 世界各地では、大国の力による一方的な現状変更の試みによって国際秩序が揺らいでいる。
 そうした中、日本政府も防衛体制の強化を急ぐ。自衛隊の「南西シフト」は島々への配備を強化しただけでなく、日米共同訓練の大規模化、激化も招いている。
 普天間飛行場の返還は日米合意から30年がたっても実現しておらず、それどころか慰霊の日の前日には日米共同訓練の一環として初めて陸上自衛隊のオスプレイ3機が着陸した。
 地元の宜野湾市が外来機の飛来禁止を求めているさなかの出来事だ。
 政府は「抑止力」であり「国防のため」とするが、果たしてそうか。
 かつての戦争で沖縄はまさに本土防衛の盾となった。その結果の住民犠牲だったはずだ。
 玉城知事は平和憲法の下、戦争によらない課題解決を追求することこそが「沖縄の責務」と宣言した。
戦後絶えることなく戦争の記憶をつないできた県民に求められていることだ。
■    ■
 高市早苗首相にとっては首相就任後初の来県となった。
 追悼式のあいさつでは沖縄戦で犠牲となった人々や遺族の悲しみに触れ「胸が締めつけられる」と語ったものの、直後の取材では「防衛強化」と「日米同盟」の重要性を強調し沖縄の思いとの落差を感じた。
 就任から8カ月もたってようやく実現した玉城知事との面談は約5分。「基地負担軽減」を掲げてはいるものの、軸足がそこにはないことはありありだ。
 首相は、辺野古事故を巡り、文部科学省が高校側の平和教育について教育基本法に違反するとの見解を示したことも「過度な介入とは考えていない」とした。
 戦後間もなく施行された同法は戦前の皇民化教育の反省を踏まえて制定された。沖縄戦の教訓とも通底している。
 そこで示される「政治的中立」は本来、公権力の教育への介入を防ぎ、教育の自由を保障するものだ。介入の根拠にすること自体がおかしい。
■    ■
 今こそ未来を担う子どもたちが主体的に平和を学ぶ取り組みが必要である。
 県は戦後100年を見据え、沖縄の歴史的教訓を継承し世界の恒久平和に貢献する「恒久平和に貢献する沖縄ビジョン(仮称)」の策定を進めている。

 どうすれば平和を維持できるのか。平和学習を担う人材育成や国際交流の深化など平和創造に向けた具体策を求めたい。 
編集部おすすめ