昨年9月の沖縄全島エイサーまつりへの陸上自衛隊第15旅団の出演を巡り、15旅団が出演を「集合訓練」の一環と位置付け、組織的に計画、準備していたことが分かった。市民団体の情報開示請求で、開示された文書から判明した。

 出演が明らかになった際、市民団体などは「軍隊組織である自衛隊が加わることはふさわしくない」と反対し、中止するよう要請。これに対し、15旅団は「隊員の福利厚生と地域との一体化」が目的で、公務ではないと説明していた。
 しかし、昨年6月4日付で「エイサー演舞集合訓練について」と起案された文書には、目的を「部隊の認知及び親しみの拡大を図る」と明記している。
 複数部隊から隊員を集め、訓練隊長を置き、旅団長自らが2度の練度確認を行うなど、詳細に計画していたことが分かる。
 これまでの説明とは明らかに異なるものだ。
 文書では、主催者側から書面での出演依頼を得られなかったことを理由に、昨年8月の段階で内部規定上の問題を回避するため、「厚生活動」として再整理した経緯も残っている。
 一方で、その後も移動には公用車を使い、弁当を支給するなどの実施体制を維持している。
 広報目的の組織活動を、隊員の文化的な福利厚生活動と説明していたとすれば、住民にうそをついたことになる。
 15旅団は今年のまつりに出演しないという。だが、それだけでは不十分だ。経緯の説明を求めたい。
■    ■
 一連の問題については、市民団体などの抗議が「職業差別に当たる」として県議会の一部会派が問題視。
「自衛隊及び隊員とその家族に対する差別的な風潮を改める決議」が、自民・無所属と公明の賛同により、賛成多数で可決された。
 だが、組織的な出演が明らかとなったことで、市民団体などの懸念が裏付けられたことになる。
 県議会決議は、文化行事への自衛隊の組織参加を議論することと、隊員や家族への「差別」を混同させるような内容だ。
 国家権力である自衛隊組織の活動を市民が監視し、疑問を呈し、反対を表明することは、表現の自由として憲法で保障されている。
 市民の抗議を差別として封じようとすることは見過ごせない。
 陸自の説明を前提とした決議は、撤回すべきだ。
■    ■
 自衛隊の広報活動は、マラソン大会にボランティアで参加したり、祭りのパレードで行進したりと目に見えて拡大している。
 6月には県内での進路説明会で、自衛隊担当者が高校生の連絡先を聞き、勧誘や広報を繰り返していた。生徒は「怖い」と高校に相談した。自衛隊は「行き過ぎた募集活動」として、再発防止に乗り出している。
 自衛隊の配備強化が急速に進む中、求められるのは住民の不安に丁寧に向き合う姿勢だ。
 目的を隠して、地域のイベントに割り込むようなやり方は認められない。
編集部おすすめ