目に見えない壁に囲まれた場所、例えば聖域やタブーなどと言われる場所。奴隷制の時代を経た米国で、長い間黒人と白人の間を隔ててきた見えない壁を、音楽と共に軽やかに越えていったのがこの人、カウント・ベイシー。

 1904年生まれの彼が生きた米国は、黒人は選挙権を持たず、バスやトイレ、ホテルの部屋などは黒人と白人が隔離されるなど、差別が色濃く横行していた。
 ジャズ界に革命を起こし、ビッグバンドを組んで米国中をツアーで回り、大勢の人々をスウィングさせ続けた彼は、声高に黒人の権利を叫ぶことなく尊厳を示し、白人たちがグラミー賞に推挙せざるをえないほど、米国に愛された。
 そんな彼の謎だらけの私生活をひもとく本作は、ぜひともスウィングしながらお楽しみください。
(桜坂劇場・下地久美子)
◇桜坂劇場で上映中
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