沖縄県内では2025年度の観光客数が過去最多を更新し、観光収入が初めて1兆円を突破するなど、観光産業の力強さは増している。
 沖縄の景気は、好調な観光産業がけん引する形で、23年10月以降、34カ月連続で「拡大基調」を維持している。

 一方、物価高のほか、人手不足、賃金水準の低さなどの構造的な問題から、県民の生活や中小企業の経営は苦しい状態から抜け出せていない。
 県内では中小・零細企業が99%以上を占める。仕入れ価格や人件費の高騰に価格転嫁が追いつかないことで、景況感が浮き沈みしているのが実情だ。
 全国最下位の水準が続く1人当たり県民所得は、18年度の232万5千円から23年度には231万5千円と微減した。全国的に賃上げが進んだこともあり、全国と沖縄の差はこの5年間で拡大している。
 県内でも25年度に最低賃金が初めて千円を超えた。長く低迷していた実質賃金は、25年に5年ぶりのプラスに転じた。だが、中小企業からは、これ以上の賃上げは難しいという声が聞こえてくる。
 流通コストのかさむ離島県の不利性、製造業が少なくサービス業が多いといった産業構造の偏り、人件費の割合の高さ、利益が県外へ流れる「ザル経済」、生産性の低さなど、沖縄経済の課題は山積している。
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 知事選の候補者は、重要な争点の一つに経済政策を打ち出している。
 古謝玄太氏は中小企業のDXやAI導入で生産性を高めるほか、新5K経済「観光、健康、環境、海洋、起業」で産業の柱を増やすと主張する。所得を伸ばすだけではなく、家計の負担を減らすことで、手取り額の向上を目指す。

 玉城デニー氏は観光や農林水産業、ITなど多様な産業を育て、地域内でお金が回る「循環型経済」の構築を訴える。中小企業支援に加え、医療、介護、保育など雇用の質を高め、成長の果実を県民に行き渡らせると力を込める。
 県産品の開発、販路開拓、デジタル化、事業承継、人材育成など総合的な取り組みで、企業の「稼ぐ力」を高め、豊かさを実感できる経済成長につなげていく必要がある。
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 物価高が長引く中、暮らし支援も待ったなしだ。
 古謝氏は県の子育て支援予算を倍増し、妊娠、出産から子育てまで切れ目なく支える仕組みを提起する。
 玉城氏は既存制度の隙間で支援が届かない人を対象とする基金を新設し、支援の幅を広げると強調する。
 給付や無償化による手厚い支援は県民の望むところである。ただ、財源上の限界があることも事実だ。
 困っている人を支えながら、「強く、しなやかな自立型の経済」をつくる。
 暮らしを守り、経済を育てる。知事選では、両方の視点から具体策について議論を尽くしてほしい。
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