■低迷する国内市場の中で過去最高を記録、徹底した「ものづくり精神」起点に
登壇した代表取締役社長・軣秀樹(とどろき・ひでき)氏は、2025年度の業績において売上高が過去最高を記録したことを発表。現在の国内パソコン市場全体は低迷しているものの、同社が強みとするゲーミングPCなどが全体の売上を大きく牽引した形だ。軣社長は「ものづくりの精神を起点とした取り組み」をベースにしながら、変化する市場環境を生き抜くための戦略を提示。進化したマウスコンピューターとして昨年を超える実績を目指す意気込みを語った。
また、地域貢献施策として、長野県飯山市と連携した親子パソコン組み立て教室の実施や、職業体験施設キッザニアでのパビリオン展開を今後も継続していくことも発表。ほか、各部門から、国内4拠点による24時間365日のサポート体制の維持や新設された3R推進室の取り組み、厳しい環境試験による品質向上など「安心・品質」をさらに強化する具体的な施策についてもそれぞれ報告が行われた。
■エヌビディア副社長と語るAI新時代、「予測できない未来」への期待と危機感
カンファレンスの大きな見どころとなったのが、軣秀樹社長と、半導体大手・エヌビディア合同会社 日本代表兼米国本社副社長の大崎真孝氏によるトークセッションだ。AI領域をテーマに据えたセッションで大崎氏は、「AIエージェントの存在が最新トレンド」と指摘。これまでの対話型AIから、個人の手足となるパーソナルアシスタントの環境が整いつつある現状を説明した。
これを受け、軣社長も「AIは“脳”だと思ってきたが、今や“手”に変わるものとなった」と深い同意を示すとともに、ハードウェア販売のみに頼る現状への危機感を吐露。今後はパートナーとの連携を強化し、ハードだけでなくアプリケーションやセキュリティも含めた「統合的な販売」を推進していく覚悟を語った。
また、大崎氏はノートPCサイズで凄まじい性能を発揮する最新技術「RTXSpark」を紹介し、個人が手元でAI開発を行える時代の到来を告げた。
さらに、手元のパソコン内で処理を完結させる「ローカルAI」の可能性についても言及。大崎氏は、安全性の高さ(セキュリティ)、超高速な動作(スピード)、月額費用を抑えられる運用の手軽さ(コスト)という3つの圧倒的なメリットを提示。自国のデータを資産に変える「ソブリンAI」や、日本の強みである機械工学と融合する「フィージカルAI」の時代において、手元の開発環境を整える重要性を強調した。
これに対し軣社長は、国内メーカーとして先頭を切ってローカルAIの製品開発に取り組む強い意志を表明。日本企業に眠る膨大なデータを生かすため、まずは自社内へもいち早く導入して修理解析や品質改善に役立て、その実体験の価値を顧客へ直接説明できる体制を整えたいとした。これが、同社の法人向け国内シェアを一気に伸ばす好機になると意気込む。
長年、グラフィックス技術を成長エンジンとして協働してきた両社。今や技術がスーパーコンピューターやAIと融合し、個人の領域へ落とし込まれる変革期にあることを確認し合った。軣社長が「予測できない未来が見えてくる」と期待を寄せると、大崎氏も強力な支援を約束し、セッションを締めくくった。
製品発表のセクションでは、市場の部品価格高騰への対策として、マウスコンピューターが今後ミニPCと呼ばれる超小型デスクトップと、PCゲーミングの2大分野に集中投資していく戦略が示された。
その中で特に注目を集めたのが、クリエイター向けブランド初の超小型デスクトップ『DAIV CX』(2026年8月販売開始)。
さらに、従来のデスクトップのイメージを覆す、お洒落な白いミニPC『mouse CA』(2026年8月販売開始)も発表された。リビングやインテリアに自然に溶け込む洗練された白のデザインが特徴で、予算や用途に合わせて3つの性能(エントリー、スタンダード、ハイエンド)から自由に選択できる。海外製ミニPCが増える市場において、「24時間365日の国内サポートと安心感」を武器に差別化を図る。2026年10月にはMousePro 新ミニPCも販売予定。これまでの定番ビジネスモデルとは全く異なる新コンセプトで開発されている法人向けの超小型デスクトップPCで、詳細は近日発表予定とのこと。
液晶ディスプレイブランドのiiyamaからは、在宅ワークから趣味のゲームまでを一台二役を担うデュアルモード対応の『G-MASTER GB2771UHSU-B1』なども発表され、その高い汎用性が注目を集めた。
このほかにも、生体顔認証対応でセキュリティ機能を強化した『MousePro C4/C5』、静音性とコストを重視した個人向け『mouse A4/A5』、Copilot+PCでRTX搭載のクリエイター向け『DAIV Z5』、12.2型で1kg以下のウルトラモバイルノート『mouse X2』『MousePro G2』など、胸が躍るような新技術を多数提示。2026年後半には、ゲーミングセグメントでも大きな発表があることを明かした。
今回の発表会は、単なるパソコンのスペック競争の先にある、AIと人間の新しい関係性や、ストレスのない快適な使用体験というユーザーの体験価値をどこまで高められるかという、同社のモノづくりの本質が強く伝わるカンファレンスとなった。
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